第8話

「皇帝殿下!!部屋くらいノックしてください!」

「すまなかったな。そこの女が訳のわからん事を申したからつい、な。」


 目を真ん丸にしていたソフィーナだったがすぐにキッと皇帝殿下を睨み返した。


「何ですか?私は事実を述べたまでです!今までに奥さんを沢山殺してきてその遺体の一部を飾る部屋があるとかいう言い伝えだって残っているんですからね?」


 言い伝えってなんか表現が違う気がしなくもないけど…。そこは噂がある、で良いのでは……ん?

 奥さんを沢山殺してきて、その遺体の一部を飾る部屋がある?

 え?聞いてないよ?

 サイコパスじゃん!!え?


「なんだその噂は。誰だ流したやつは」

「言い逃れしても無理ですよ!ほとんどの人がこの噂知ってるんですから!」


 え、私知らなかったんだけど

 だから他の方達も幾らなんでも血皇帝様となんて…って言ってたのか。

 実質辺境に飛ばされるなんかよりもこれは死刑宣告じゃん!?


「え、え…嘘…じゃあ私もコレクションになるってこと…?」

「嫌ですロザリー様ぁぁぁぁ」


 コレットが泣き叫ぶ。私とコレットは血皇帝の前である事など忘れて泣きながら抱き合う。


「あのな。どんな噂だか知らんが俺は今まで結婚したことはない。」

「え?」

「何言ってるんですか?じゃあ今消息不明のミドリ嬢は?ロサワナ嬢は?他にも沢山いるじゃありませんか!」

「はぁ…。全員婚約期間中に他の公爵と駆け落ちしたんだよ。だから消息不明なだけだ。」

「えっ…あ、そうなんですか…」


 罰が悪そうにするソフィーナ。

 にしても婚約中に駆け落ちされるなんて酷すぎるのでは…。


「だから、お前も誰かと駆け落ちしたければすると良い。俺は止めない。それを言いに来た。」

「え?」

「それじゃあな」


 え?私も駆け落ちする前提?

 ちょっと待ちなさいよ!!!


「殿下。お待ち下さい。」

「なんだ」

「私は駆け落ちする相手などそもそもおりません。」

「そうか。」


 氷のように冷たい眼をこっちに向けた…が。


「それはお前の母親か?よく描けているな。」


 と言うと部屋を去っていった。




 今私の絵を褒めました???あの?血皇帝が???

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悪役令嬢と言われましてもアリバイはあります!付けられて死ぬ未来しか見えません!!! 三崎セシル @saya-Oki

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