古びた人形店と店番の少女マリー
仲仁へび(旧:離久)
第1話
古びた人形や新しい人形。
子供の人形や老人の人形。
勇者の人形や魔法使いの人形。
そこは様々な人形を売っている、人形のお店です。
中にいるのは、腰の重いのんびりやの店長さんと、綺麗な金髪の努力家少女マリー。
けれどマリーには友達がいないため、一日中さびしく店番をしていました。
お店はの見た目がさびれていて、しかも分かりにくいところにあるために、めったに人が来ないのです。
けれど、ずっとではありません。
たまにお客さんが来てくれると、マリーははりきって接客をします。
にこにこ、はきはき。
笑顔を振りまきながら、覚えたての言葉で一生懸命にお人形の説明をしていきます。
そんなマリーの努力のおかげか、やってくるお客さんもにこにこ。
最後には気分良くお金をだして、お人形を買っていってくれます。
でも、その後店の中はしーん。
マリーはいつも、お客さんが帰った後の静かなお店の中が苦手でした。
人がやってきては帰り、またやってきては帰る。
そんな日々を繰り返したマリーは、ある日気が付きました。
お客さんが帰るのが嫌なら、ずっと帰さなければいいのだと。
新しいお客さんがやってきた時、マリーはにこりと笑って出迎えます。
人形達も、にこりと笑って出迎えます。
そして、にこにこ、はきはき。
お客さんはマリーの丁寧な接客に感激して、マリーともっと仲良くなりたいと言いました。
だから、最後にお店の扉を閉じて、目をかくして、動けなくさせればもう大丈夫。
ほらお店の中にある人形とお揃いです。
ちょっと変わった人形だけれど、こうして並べておけばもうどこにも行きませんね。
お客さんは、けっしてこのお店の中からは出られません。
古びた人形店と店番の少女マリー 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます