ごきぶりにヨロシク

ごきぶりにヨロシク

前略　ごきぶり君

君はたぶん知らないだろうね

自分がとっても

嫌われ者だってこと

ぬめぬめと黒光りした身体も

軽やかに疾走する抜群の運動神経も

すべてDNAがもたらしたもの

君に責任はないはずなのに・・・

コックローチ、バルサン、ごきぶりホイホイ

世の中には君たちの死刑道具が

あふれています

ごきぶり君は害虫らしいけど

人間に特別悪いことしたのかなあ？

たしかにその辺で出くわしたら

かなり驚きます

生理的嫌悪も申し訳ないけど感じてます

どんなに努力しても君たちが

可愛くは見えません

けっして虫かごで飼おうとも思いません

見ようによっては秋の虫に似てなくも

ないのにね

ではなぜ君たちばかりがヤリ玉にあがる？

それはおそらく

ごきぶり君の生命力が並外れているからです

人類が滅亡しても君たちは

生き残るそうですから

もしかしたら我々は

自然淘汰の大いなる力に

操られているのかもしれない

＜あいつを殺せ＞という感情を

知らぬ間にインプットされて

あわれなり　ごきぶり君！

ともかくこれも

前世からの宿命だと思って

あきらめてください

では、お元気で

追伸　返事はいりません