山盛りの厨二要素に、でも決して皮肉に逃げない王道のバディアクション!

 深夜のロサンゼルスを舞台に、悪魔と天使のコンビが、その圧倒的な戦闘能力を駆使して事件に挑むお話。
 王道も王道、堂々たる風格のエンタメ系ダークファンタジーです。なにがすごいってもう作中にてんこ盛りにされたアレ、厨二モチーフ&厨二病的演出の数々!
 昨今、ある種のメタ的な視点からどこか皮肉めいた扱い方をされがちなこれらの要素を、でも「本来は格好いいものだろうが!」とばかりにこちらを殴りつけてくる、そのがっぷり四つのストロングスタイルに心底しびれました。これはたまらん……!
 単にその作品としてのスタンスが格好いいから、という話ではなく、あくまで「その目論見が完全に成功している」という事実こそが最大の美点。
 これだけベタだとどうしても陳腐に見えてしまいそうなところを(実際、読み始めてすぐのあたりではまだ多少そういう意識もあった)、でもまったくそう感じさせないこの作品としての分厚さ! ド派手なアクションにキャラクターの魅力、バディものとしての信頼感の描き方、等々、正面からねじ伏せてくれる感覚がもう最高に心地よかったです。土下座するしかないやつ。
 主人公のコンビが好き、っていうか特にレリエルくんが最高。えぇーなんですかあの匂い立つような危うい色香は……いや天使に対して色香を褒めるのは失礼かもですけど、でも趣味にストライクすぎるキャラクターでした。このエンタメ感の限界突破ぶりが大好き!