第3話 幕
あれが何かですって?
そんなの知りゃしませんよ。
万が一、本当に子供だったらどうしよう、って実は丸一日悩んだ。でもね、あんな寒空の下で震えもせずに座り、人にも犬にも気づかれないなんてこと、ありますか?
交番だって近い、子供も子連れの親子も通る。元が子供の多い場所だから、小さな子が泣いてりゃ、誰かが声をかける土地で。そんな地域でなくたって、真冬に薄着の子が地べたに座っていたら、誰だって心配するでしょう?
幽霊かと問われれば、答えは否、だ。
あれは実際、子供か、疲れた私の脳が見せた幻影か、さもなきゃ。
ともあれ、この世に幽霊なんてありゃしません。
ところで、翌日そこを通って気づいたんですけどね。電柱と植込みの隙間、どう多く見積ったって20センチなんですよ。乳飲児のいる知人に聞いたら、いくら子供でもあの幅には胡座はかけないって。
だったら、私が見たのは、一体なんだったんでしょうね。
隙間に座る 中村ハル @halnakamura
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