壁の壁

バブみ道日丿宮組

お題:知らぬ間の門 制限時間:15分

壁の壁

 家と家には10メートルはある壁が続いてる。

 中に入るには、正面に位置する門をあけて、さらにその中にある玄関から入る必要がある。これはもちろん家の玄関扉だ。

 なお壁に囲われた状態のため、日光はほとんど当たらない。そのかわり人工の光が壁に設置されており、いつも昼間にいるような状態となってる。防犯のため、監視カメラも壁に設置してる。

「あれ……?」

 そんな1つのとある家の前で少女は頭を傾げる。

 少女が開けた門の先には、玄関はなく……また門があった。

 いつの間に二重構造になったのか、いやそんな隙間が果たしてあったのか。

 少女は今朝の状態を思い出すために、瞳を閉じた。

 浮かんでくるのは、朝玄関でいってらっしゃいと見送ってくれた母親の顔。玄関が閉じ、門が閉じて、通路に出た。

 通路には同じように家を出た学生やら、社会人が一方向へ向かって歩いていった。


 それが今朝の記憶。


「……ん」

 なんにしても玄関には続くだろうと、新しい門を開いた。

 すると、

「あれ……?」

 予測してなかった事が起こった。

 玄関はなく、門がさらに続いてた。つまりは、壁、壁、壁と3重防壁が家の周りにある。

 ひょっとして間違ったところにきてしまったのかと、少女は門を背に通路へと出た。

 そして改めて反転し、壁に書かれた番号を確認する。そこには当然少女が知ってる番号が書かれてた。

「もしもし」

 携帯電話が振動したのを確認し、少女が電話に出る。

 そこではじめて少女は引っ越し作業にあったことを知った。

 新しい住所は隣駅であった。

「はぁ……」

 引っ越しするのであれば、朝行く前に話してほしかったと思うが、国が決めたルールは一庶民にはわからないので、文句のつけようがなかった。

 少女は電話を切ると、駅へと歩き始めた。

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壁の壁 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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