神の言葉

バブみ道日丿宮組

お題:神の事件 制限時間:15分

神の言葉

 天命があるならば、何をしてもいいのか。

 自由はそこにないのか。悲しみも喜びも全ては神の御心のままになのか。

「……」

「どうした?」

「いや……平気なのかなって」

 問いかける先にあるのは酷い現場。

 四肢が引き裂かれ、内臓をぶちまけた。そんな死体たちが転がってる。

「殺人はもうなれた。散々機会を与えられてるんだ。慣れないわけがない。それにこれは神が進言した通りのことをやってるまでだ。お前も聞いたであろう?」

「それは……」

 友人がいうことはわかる。

 僕たちが承ってる天命は神の言葉だ。

 それを巫女が聞いて、人々に伝える。その繰り返しでこの国、この街は栄えてきた。今更その言葉を信じないものなんて存在しない。

 巫女の言葉は絶対だ。何を無視してでも実行させるべきこと。

 その結果は必ず繁栄に結ぶからだ。まさに神がかった言葉とも言える。

 けれども、今はどうだ。

 巫女の孫というものが言葉を捻じ曲げてないだろうか。巫女は狂ってるのではないだろうか。

「街の汚物を壊すならば、殺しもまた良き行いであろう」

 折れた包丁を投げ捨てる友人。

「彼らは堕ちたのだ。普通であれば、こうしてこうなることもなかったであろう」

 死体に手を加えて、あるものを友人は作り出そうとしてる。

「さて……これで神の事件の出来上がりだ。人がやったようには思われないであろう」

 歯の芸術というべきだろうか。

 あるものは顔が陰部に置かれ、手足が紙のように頭から生え、またあるものは腹部を食いちぎったかのように噛み合わせられてる。

 そんなものたちが合計5体。

 発見した人は吐き気を催すだろう。

「臭い臭い。どうしてこう匂いがするのだろうか」

 内臓をいじりまわし、壁に叩きつけてく。

「毎回よくできるな」

「慣れたといったであろう。お前もそうであろう?」

 僕も……確かに慣れた。

 最初は胃の中が枯れるまで吐き出したものだ。痛みもあった。胸の奥で何かにつねられたかのような痛みがいつもした。

 今は……ない。

 平然と殺しの天命を行う友人を見るばかりだ。

「帰るぞ」

「あ、あぁ……」

 友人があるき出したのでその後を追う。


 いつまでこんなことを続ければいいのだろうか……。 

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神の言葉 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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