第3話 華
華とはそれからも連絡を取っていた。一番話が合うから。ある日、僕は風邪で学校を休んでいた。華はそんな時でも一番最初に連絡をくれた。毎回毎回、心配の連絡をよこしてくれていた。今思えばただ、友達としての連絡であって深い意味は何もないのだと思う。でもそのときはそれがうれしかった。今までの人生で他人に心配されることは体調の面ではなく、この先のことや漠然とした不安をぶつけられてきただけだった。だから華の連絡がとても嬉しくて、好きになってしまいそうだった。いや、正確にはもうこの時点で華のことが好きだった。学校で合えば話すし、家でも話すような関係だったから、きっと付き合えるだろうと勝手にそう考えていた。もちろんそのときの僕は華と付き合いたかったし告白しようと思っていた。そんな時、華と恋バナをし始めたのだ。華に「気になる人はいるか」という問いを投げかけた。最初は濁していたが、だんだんと話が弾むうちに気になる人がいることを知った。僕は心の底で期待をしながら、きっと僕ではないだろうと思っていた。彼女が気になっていたのは杉山だった。僕は不思議で仕方なかった。一体杉山のどこがいいのか、本当にわからなかったが華の気持ちを応援したいという気持ちと悔しい気持ちと空しさが入り混じり、気持ち悪かった。
それから数日がした日、和泉から相談の連絡があった。「私好きっていう感情がわからんのよね、恋愛感情がわからん」と、最初は何事かと思い話しを聞いていたところ、気になる人はいるがそれが恋愛感情なのかわからないというのだ。僕は「その人は誰かに取れられたいやな存在なの?」と聞いたところ「別にそういうわけではないけど、きっともやもやする」と言われた。僕はそれは恋に近いのではないかと思い、その気になる人と連絡を取ったりすることでわかると思ったので、和泉にはその子と連絡を取ってみた方がいい。とだけ連絡しておいた。「ありがとう」彼女からそう連絡が入った後に「また相談してもいい?そうだんできるの君だけだし」と入っていた。正直このときは彼女に対して何も思っていなかったから「いいよ」とだけ返してその日は終えた。
後になって知ったことなのだが、このとき気になっていた人物は杉山だったらしい。これを聞いた時僕は絶望した。なぜ、僕が気になった相手を二人ともさらっていくのか、わからなかった。そこから2,3週間が経ち、和泉の話を聞き続けていると「たぶん好き」という言葉が増えていた。なのでこのままこの気持ちを抑えるよりは告白して付き合えればもっと恋愛について理解ができるはずだと伝えた。その結果、彼女は彼に告白することを決めた。このときついでに僕も華に告白しようと考えていた。
下り坂 @Royalchan
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