文字を書くこと
バブみ道日丿宮組
お題:哀れな小説訓練 制限時間:15分
文字を書くこと
小説を書く必要性はどこにもない。もっともプロは知らない。生きるためには必要な行為では決してない。
それはプロであっても、もしかしたら他にやれることがあるかもしれないから。
「……」
ちなみに僕はプロでもないし、アマチュアでもない。
では、なにかといえば、ただのポエムライターだ。
好きな言葉を繋げて物語のようなものを作ってる。それらが組み合わさって偶然物語になればいい。当然、大半はうまくいかない。
小説サイトに投稿しても、何も評価を受けない。むだに1000本も上がってるが、傑作というのはない。自分でそう思ってるのだから、当然人から評価は受けない。
まぁ……こんなレベルで評価されるようならば、世の中すべての人間が小説家になってるだろう。当然そんなことはない。
なんにしてもその才能がない僕が小説らしきものを書くのには理由がある。
表現力を高めるためだ。
友人との会話、ゲームでほとんど僕は言葉を出さない。時折スタンプを挟むことはあるが、それにしても口に出せという自体が多々ある。
いわゆるコミュ障に当たるのかもしれない。
そんな僕のそばを友人が離れることがないのが唯一の救いか。もっとも近くにいるのは異性であって、同性ではない。当然同性からは嫌な視線を受ける。
それでも友人に違いない。
だから、僕は訓練を欠かさない。
「……はじめまして」
作った文章を口に出す。
言葉にならない繋がりであれば、それは文章ではないと国語の先生は言ってた。
だから、何度も何度も口に出してみる。
挨拶をできる人間は社会的にも高いポジションを得ることがあると父に聞いた。毎朝声をかけてくる両親に言葉を返したことはない。小さい頃は知らないが、かれこれ8年くらいはしてない。
「……おはようございます」
他人行儀な言葉だ。
なぜこう言葉にすると、丁寧語になってしまうのだろうか。
友人だから、家族だから、もっといい言葉選びがあるはずなのに。
「……はぁ」
虚しい。
こんな無意味な時間を過ごすくらいなら、本の一冊を読んだほうがいい。
そう思い、タイピングを止め、読みかけの本を手に取った。
文字を書くこと バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます