小説のネタよ、降ってこい

夏伐

サンタ、さん

 枕元に大きな靴下を設置する。そして、俺は窓の鍵を開けた。


 今日はどっかの神様の生誕祭だ。


 世間ではカップルがイチャイチャしているし、家族団らんの時間だ。俺はずっとぼっちだから世間の波は関係ないのだが。


 クリスマス、俺はサンタを信じている。


 だからせっせと子供のように、靴下を用意して中に分厚いメモ帳とペンを淹れた。

 そして、夜はしっかり眠らないといけない。


 窓の外には雪が降っていた。ホワイトクリスマスだ、世界のリア充おめでとう。


 俺はベッドに潜り込んだ。後は朝になるのを待つだけだ。


 翌朝、靴下の中のメモ帳には、大量の『ネタ』が書かれていた。


 驚くような突飛な発想ばかりである。俺は内心、ほくそ笑んだ。


 サンタさん、ありがとう。俺は明るくなった窓を開けて感謝の気持ちで空を見上げた。


 ふと目を落とすと、ベランダには大量の二足歩行の蹄の跡が残っていた。


 今までもこうして小説のネタをプレゼントしてもらっている。時折角の生えたシルエットを見た事もあった。


 やはりサンタさんはサタンさんなのだろうか。

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