第四話 なぜ病院外には行けないのか

 杏とイチャついてから数分が経過した頃。


「はぁ、なんかあたし疲れちゃった」


 同感です。

 イチャつくだけで体力的にも、精神的にも疲れるものなんだなと知った。


「そういえば、佑哉って外とかに出たことあるの?」


 病院生活に入ってからだ。


「まあ一応」


 普通の人なら許可が取れれば外には出られる。

 だから、俺も一応外には出たことがあるんだ。例えば屋上とか、病院の敷地内にあ る小さな遊び場とか。


「ふーん。じゃあ、病院の敷地外には?」

「ない」


 即答。


「というか、どうしてそんなことを?」

「んー、佑哉と一緒に外を散歩したいなーって思ってさ」


 どういう風の吹き回しだろうか。

 いきなり俺と散歩なんかしたいとか。

 やっぱり杏は、俺に気があるのだろうか。


「佑哉はどうなの?」

「なにが?」

「病院の敷地外に出たいってこと」

「ああ......それは、出れるなら出たいけどさ......でも、それは無理なんだよね」


なぜかは分からないが、病院の敷地内の遊ぶとことかはいいのだが、敷地外となると無理なのだ。


「ふーん......じゃあ、あたしが外に出れるように言ってくるからちょっと待ってて!」

「はっ?あ、おい!」


杏は勝手にそんなことを言うと、病室を飛び出して行ってしまった。








 

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何の取り柄もない俺がどうして幼馴染から好かれることになった らかん @dipper36

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