キスの日
テン
キスの日
「ねーねー今日キスの日なんだって、知ってた?」
酒場で楽しく飲んでたらめんどくさい酔っ払いに絡まれた
大体なんだよキスの日って、そんなん知るわけないだろ
いや、耳を澄ませるとなんかいい感じのカップルからそんな感じの話が聞こえるような聞こえないような…
とにかく
「知らねえよ…少なくともオレともお前とも、オレらがよくつるんでる奴らともあんまり関係ない話だろ」
色気より食い気、食い気より金目の様な奴らがオレの周りにはよく集まる
オレ自身金目の物にはあまり興味はない、目の前のちびもそうだろう
しかし、そんな変わり者の周りにはあまり碌な奴らが集まってこない
幸いにして信用の貴重さが分かってる奴らだから仕事においては安心できるがプライベートに関して深く関わり合いになろうとはあまり思えない連中ばかりだ
なので
この相当出来上がってそうなちびがそんな話を持ってくる時は大抵碌なことにはならないと相場が決まっている
だが、オレとて年頃の男だ、『そういう事』にはもちろん興味深々だし?このちびがどーしてもオレとしたいというならやぶさかではない
いやもうホントしょ〜がないけど据え膳食わねばなんとやら、女に恥を欠かせちゃなんとやらだ
と、自分も相当酔っ払ってる事を棚に上げて一人で脳内で騒いでいた
「ねーねー急に黙ってニヤニヤしてどうしたの?キモいよ」
「うるせえな、キモいとか言うな」
「で、それがどどうしたんだよ」
噛んだ、オイオイ期待しちゃってるみたいじゃねーかヤダなオイ
「うん、それでね。1人寂しく飲んでる奴がいたからどーかなーと思ってね?どうする」
オーイオイオイオイ誘われちまったじゃねぇかオイ!
じゃ、そういう事ならイタダキマース!
「な、なんだよシカタネエナァそういう事なら付き合ってやんよシカタネエナァ」(早口)
「じゃ、決まりだねこっち来て」
へへ、急にどうしたんだろうなこれがモテ期って奴なのか
と脳内で1人大盛り上がりするオレ
ぐいぐい引っ張られながら着いていくと芳しい油の香りが漂う大テーブルにたどり着いた
「みんなおっまたせー!席空いてちゃな〜んか白けるから寂しそうな奴連れてきたよ」
むくつけきおっさんから見目麗しいお姉さままでおせえぞーやらはやくはやくーやらのヤジが飛ぶ
「なぁ…キスの日って?」
「え?だから鱚(きす)を食べる日だよ、今年は特に豊漁だったからみんなでカンパして大テーブル貸切にしちゃったZE」
「タダで食わせてやるからありがたくちょーだいするよーーに!」
ああ、そうだよな…
オレの周りに集まる様な奴が色を知ってるわけないもんな
特に…
「はい、じゃあ席も埋まったところで乾杯しましょーか!」
わーわーやんややんや
コイツはオレの周りの筆頭バカだった…
「乾杯!!!」
「「「「カンパーイ」」」」
カンパイ…
fin…
キスの日 テン @tenX
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