縄痕の消えてしまう前に

沼田くん

第1話

 朝が、まもなくやって来る。気だるい体。昨日一晩、寝かせてもらえなかった。私は今、畳に敷かれた布団の上、横になって一点を見つめている。 目の先に居る、背中を向けているご主人様に幸せな時を刻んでいただいた。時だけではない。肌に残る深く刻まれた縄痕。目にくっきりと映る縄痕も、ご主人様からいただいた。

 もう、終わり?

 私の白い肌をから解かれた縄が、生気を無くして魂の脱け殻。肌を噛んでいるときは、あんなにも生き生きしているのに、肌を離れたら、こんなにも萎えてしまうものなの?

 もっと縄が欲しい。

 私は、心で叫ぶ。ご主人様に思いが届け。

 叶わぬ思い。 

 せめて、縄痕が消えてしまう前に縄をください。

 お待ちしています。 

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縄痕の消えてしまう前に 沼田くん @04920268

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