第24話都市戦

今から都市攻略作戦を開始する。

現状、半数以下ではあるがモンスターと対等に渡り合える騎士が盗賊団の討伐に向かっている。

これほど多くの騎士がいないのは今回限りだろう。

チャンスだ。


元々、盗賊団の討伐に向かった騎士団を撃破する方針で動いていたが、これほどの大規模な討伐隊が組まれるとは予想していなかった。

余りにも情報がなく警戒を強めての事かもしれない。


都市サイドの上層部の連中は、誰と戦っているのかもわかっていない。

《変身》にて、確認をその都度している。

なかなか有益な情報も少なくはあるが、噂をなめてはいけない。

人の口コミは、えてしてそういうものだ。

嘘も多いが、真実も見え隠れしている。


自身がモンスターである事が、ばれる事もありうるので、目立たないように行っている。

どうも騎士団や冒険者達は、町中で気も緩んでいるのか、ばれるはなかった。


偵察も本日を持って終了だ。

今日をもって都市は機能を停止するだろう。

討伐隊が組まれる事も、もちろん知っていた。

今まで共に盗賊団をしていた魔族を、囮にしよう。

討伐隊が街を離れた時にそう思った。


それに、こちらの戦力も都市攻略に十分足りうる。

あれから、大きく溜まったDPとLPを使い、ランクBのモンスターを召喚している。

そこからは錬金釜でその数を増やした。


今回都市攻略で使うモンスター達を紹介しよう。


ワイバーン 種族 鳥族

ビックマンティス 種族 虫族

ダイナマイトロック 種族 無機質族

デッドソード 種族 悪魔族

魔像 種族 無機質族

ネクロマンサー 種族 悪魔族


になる。


全員、ランクBのモンスターだ。

ワイバーンはグリフォンとキマイラの掛け合わせだ。

空を飛び、翼を広げると五メートルにもなる大きさになる。

ランクBのモンスターは総じてデカイ。

ステータスも高く万能型と言える。

目が縦に赤く顔から首にかけてはシャープな印象をうける。

鉤爪もあり人一人なら容易く切り裂きそうなほどデカイ。


ビックマンティスと魔像は家ほどの大きさのモンスターだ。

ただただ上から下に腕を降り下ろすだけ。

それで十分な成果が得られるだろう。

ビックマンティスの鎌は二メートルはありそうだ。

普通の蟷螂と違い、ビックマンティスの鎌は鋼で出来ているように輝いている。

下手な刀よりよほど危ないだろう。


魔像は、ギガントゴーレムも大きい版ではあるが、ステータスに弱点がなくなっている。

魔法防御力も高く、まさに壁。

ゴーレムの時は、顔が四角かったが、石像になり、ワイルドなオッサンのような顔をしている。

まー顔はいいか。


デッドソードはキラーシャドウの進化種だ。

自身を覆い隠すローブを来ていて中は黒だ。

歩いている様子はしないので浮いているように思う。

キラーシャドウより、隠密性にたけている。

彼には陰ながらの支援をしてもらう。

既に街に点在しているので抜かりはない。


ネクロマンサーは骸骨だ。

自信の分身体を出して戦う。

ステータスのほどはランクDのモンスターとそう変わらない。

数を揃えるのには、ちょうどいいので今回は参戦になる。


最後にダイナマイトロック。

1メートル四方の大きさで円形。

特に目や口などはない。

特徴的な事は、スキルに自爆がある事だ。

このモンスターがいるからこその作戦とも言える。

さて始めるとしよう。


ワイバーンの背に乗り、都市上空に移動する。

高度は目視できる距離とはいえ遥か上空だ。

砦にいる騎士に見つかったが、気にしず進む。


「あ、あれを見ろ!!ワイバーンだ!鐘を鳴らせ!」


「こんなときにモンスターの襲来か。騎士団の半数近く出ているぞ!!!」


カーン!カーン!カーン!


はやくも目視した巡回騎士が鐘を鳴らしている。

なかなか対応がはやい。

だがどう対応しおうが無駄だ。

まずはじめは都市の中心から落とす事にする。

貴族街にいき、攻撃の開始だ。


さてはじめますか。

空中に指定して、ダイナマイトロックを召喚する。


《ダイナマイトロック》


魔方陣が浮かび上がり、ダイナマイトロックが出現する。

もちろんダイナマイトロックは空を飛ぶ事などできないので、自然落下をする。


ビューン。ドコーーーーン!!!!


破壊的な爆発音を聞き、成功を悟る。

地面に着いた瞬間に爆発したようだ。

ランクBのモンスターとはいえ、この高度から落ちたら助からなかったか。

予想通り進めていけそうで安心だ。


着弾位置をみてみると、大きなクレーターが出来ている。

半径50メートルぐらいは、影響がでたように見える。

爆発から家々が燃え上がり、悲鳴が聞こえる。


よし。

そのままいこう。


「ワイバーン。ここを中心にして渦巻き状に旋回。飛行速度はゆっくりでいい。始めろ」


「ギャーーン!」


何をしているかといえば、空爆だ。

爆弾を上から落とさせたらどうなるか、わかるだろう。

まだこの世界には戦闘機などは、当たり前のように存在していない。

自身を風の力で飛ぶ事は出来るが、圧倒的少数の優れた魔法使いだけだ。

この都市には生憎そんな高度な魔法を使えるやつはいない。

もちろん調査済みである。


例え優秀な魔法使いがいたとしても、単身空を飛びワイバーンとやりあうことはできないだろう。

制空権がこちらにある時点で勝敗は決している。

今ではワイバーンといえど、量産できるほど資源がある。


大した問題でもないだろう。

ちなみにワイバーンはDP8000になる。

初めのスライムやゴブリンがDP10だ。

圧倒的な強さなのは間違いない。


次々にダイナマイトロックを、投下していく。

この都市は、直径10キロはある。

のんびりしていると日がくれる。

落とす位置も気を付けている。

人々が逃げやすいように、大通りは避け、家が多い所に落とす。


ははっ。

燃えろ。燃えろ。


凄まじい破壊音がし、その後訪れる熱風。

家々に火がつき、大規模な火災。

人々は逃げ纏い、新鮮な空気や熱くない場所を求めている。

逃げる足は外へと向かう。

そろそろ、フェイズ2に移行する。


「どけーー!俺が先だ!!」


「ギャーた、助けてー脚がー」


「門だー!門に行けー!!」


門の外、城壁から見えないぎりぎりの位置で、ダイナマイトロック投入後、モンスター達には進軍を言い渡してある。


モンスター達は、門の制圧に動く。

悪魔族、アンデット種の骸骨を先頭に、街から出てきた王国市民を斬る。


「が、骸骨の大軍だー!お、押すなー!!!」


「キャー!切られたわ!誰か助けなさい!」


「騎士はいないのか!?武器、武器をくれー!」


ネクロマンサーが呼び出した分身体は更にランクが1つ下がりランクEのモンスターになるが、その分、数が多い。

急遽砦の外に出だ市民には、荷の重い相手になる。

ここまで来る間に1000体は召喚しているようだ。

その数はまだ増え続けている。

都市の出口は2ヶ所になる。

一般市民が多く使い、市民街がほどほどに近い西門。

大きな荷物用や工業用物資、生活物資を運び入れる事が多く、商人が使う南門。

ここをとれば、都市は蒸し風呂、いや生きる事のできない鍋。

どっちも違うか?

まー兎に角、完了するともいえる。


西門と南門に《ワープ》で飛び、ネクロマンサーの分身体の後ろに、ビックマンティス、魔像を複数体召喚する。

これで、騎士が助けにきても、もう遅い。

門の外には、出る事のできないモンスターという名の門の完成だ。


その後、ダイナマイトロックを落とす作業に戻る。

あれほどうるさく煩わしかった声は次第に少なくなり、日が沈む頃には、火が燃える音だけが木霊するようになった。


都市は壊滅した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モンスターズ☆ きりん @tahimoku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ