カラコロ、とカウベルが鳴る。そしてガヤガヤと店先が騒がしい。

「まさか?!」

彼女は包丁を置き玄関に向かった。市側が重機を従えて強制代執行しに来た。

そう確信した。

条例が大幅に改定され空き家や開店休業物件が反社会的勢力に悪用されている。彼らはあの手この手で業態を変え合法的に存在している。

それでは法的が保証した居住権の平等に守られて退去を命じたり強制排除できない。そこで法は裁けぬ悪を幅広い投網にかけて一網打尽にしようとした。

悪は滅べばいい。彼女はそう考えていた。しかし強力な新条例は古民家カフェと反社会的勢力の拠点を灰色で塗りつぶし境界をあいまいにしてしまった。

「…!」

一目散に玄関先へ向かう。

すると、そこには見知らぬ男女と子供たちがいた。

「先生…」

若い女性が長身の男にいう。

「あああ、いきなりアポなしですみません。子供たちがどうしてものどが渇いたというのでね」

店内はすべて空席だ。女店主は「あ、あ、あの…うちは」と困惑する。

すると小さな男の子が「先生、僕、静かにしてるよ」と言った。

他の子も「知ってるー。オンガクカンショーするお店だよね?」と質問する。

「大人二人と子供十名、いけますか?」

若い女が遠慮がちに訊く。

マスターは少し考えたあと…


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シャッターの降りた未来~黒い穴の先で待ち受ける、狂気と恐怖の掃除戦争! 世界停電後の教室で起きた異常現象に挑む、言霊使いの弟子たちの壮絶なバトル! 水原麻以 @maimizuhara

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