第2話

放課後。

「あ、おーいこっちこっち!」

笑顔で手を振る少女が校門のところにいた。

その少女は昼ごろに出会い、訳も分からぬまま「あんたの妹にしてほしい」と言ってきたのだ。

俺はその要求を了承したのだった。

「にへぇ、今日からよろしくね、お兄ちゃんっ」

今日会ったばかりだというのに、なぜか俺の腕に抱き着いてくる少女。

やっぱりビッチだったりするのだろうか?......まあ、どうだっていいんだけど。

「そういえばさ、俺、君の名前聞いてないんだけど」

抱き着いてきたことにちょっと動揺しながらも、俺はこのの名前を聞いてみることにした。

「あたしの名前は綾香あやか。んで、あんたの名前は?」

出会った時もそうだったが、なぜかこの娘は俺を『あんた』と呼んでいる。

「俺は隼人はやと。あのさ、ちょっと用事かあるから寄り道して行ってもいいか?」

「寄り道?何の用があるの?」

「いや、ちょっと、欲しい本があるからさ」

「ああ、そういうこと」

綾香は抱き着く手を少し強めた。


「――いらっしゃいませー」

「ええと、欲しい本は......あああった」

学校から歩いて少しの所にある小さな本屋。

俺は良くこの本屋に来るのだが、なんというかあんまり人気が無いように感じる。

「そういえば、綾香は本とかって読むの?」

「ううん、あたしはあんまり読まないかな。字ばっかのモノは嫌い」

少女にしてはよくある回答。

「それでぇ、兄さん、その本何?」

「えっ?あ、ええとこれは......」

簡単に言えばラノベだ。

だが、この本の表紙はちょっと卑猥なので、見せるのを少しためらっている。

「なーに?いいから見せてよっ」

「あ、おい......!」

綾香はサッと俺の手から本を奪うと、その表紙をマジマジと見た。

「わっ......こ、このヒロイン、主人公とこんなことしてるわけっ!?」

「ちょ、声がでけぇって!」

そして、綾香は少し顔を赤くして俺の方を見た。

「そ、そうだよねっ、男の人ってそういうものだもんねっ」

なにか自分で確信したらしい。

「と、とにかく、ほらっ、買ってきたらどう?」

「お、おう......」

俺はその本を綾香から取ると、さっさと会計を済ませた。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一に妹 二に性欲 三にクラスメイト らかん @dipper36

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ