∃『追憶のゲシュタルトⅠ―人喰ノ鬼篇―』-Reminiscence of Gestalt -nameless demon-

　――その『選択』は、やがて全てを呑み込む『混沌』となる。
　――The choice will soon be to the creation of the world.


「……それがいつから始まっていたのか、わからないんだ」

　考え過ぎる癖を持つ大学生、坂井雄介はこの世の理不尽や不条理が許せなかった。

　しかし、なぜそう思うのか？　またなぜそう考えるようになったのか？　

　……その肝心なことは、いつだって分からなかった。

　５年前に両親を亡くして以来、姉の『坂井律子』と二人きりで生きてきた雄介。

　現在の暮らしは退屈を感じてしまうほどの平穏そのもの……雄介にとって、それは愛おしく手放したくないもののはずだった。

　だが一方で、どこか漠然とした居心地の悪さ……違和感。自…続きを読む