個人的神学は母親の愛情のこと

ジュン

第1話

「世界史の授業を受けてて思ったんだけどさ」

「なんだい?」

「なんで、中世は、神学、一辺倒になっちゃったんだろうな」

「キリスト教神学のこと?」

「ああ」

「きっと、不安だったからじゃないか?」

「何が不安なんだい?」

「人間誕生の起点がわからないという不安さ」

「ははあ。そこをうまく創世記なりで説明しようとした。ということか」

「そう」

「神学ってものは、安心感の欠落、その不安を合理化することを目指したものということか」

「神学に無関心な人もいるけどね」

「そうだね。それは、誕生したとき、祝福を真に受けて生まれたから、愛情の欠落を補完するために、キリスト教神学の意味づけを必要とすることから免れてるからだな。きっと」

「そうだね。その『運のいい』子どもは、母親から与えられた『自然な、血のかよった神学の内に』自分の居場所を得ることができるわけだ」

「そういうことだろうな」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

個人的神学は母親の愛情のこと ジュン @mizukubo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ