ウサギガリ。
@UMAC
第1話 ハジマリ
「……ッ!?」
青年は目を覚ました。石壁に囲われた薄暗く冷たい空間、この状況に青年の思考回路は迷路のように入り組んでしまっていた。
「やあ、目を覚ましたようだね?」
思考が追いつかないまま、後方から聞こえた声に青年は動悸がおさまらない。額から流れる汗が頬をつたい、喉元へ落ちる。声の主はその様子を見て不敵な笑みを浮かべた。
「突然の事に驚いているようだね?まァ無理もないか。こんな場所に連れてこられてしまったんだから。キミ、もうしゃべれるかな?」
青年は震える身体を鳴り止まぬ鼓動を必死に押さえ付け、その主を眼前に見据える。
「こ…ここは、どこなんだ…!なぜ、俺を連れてきた…!?」
声の主は頭を指で軽く掻いた後、歯茎を剥き出しにしながら引き笑い、話を続けた。
「いやァ…キミ、よく喋るじゃない。僕もおしゃべりは嫌いじゃないけど、質問は一つずつが好ましいよ。……まァ今回は許そう。今は気分がいいからね。…なんだっけ?ここが、どこか?なぜ連れてきたか?それが知りたいんだよね?じゃアまずはもう少し部屋を明るくしてみようか…」
声の主はジャラジャラと鎖を引き摺るような音を立てながら、部屋の隅に向かい、壁に設置されていたスイッチで電源を入れた。飛び込んでくる光に青年は思わず目を瞑り右手で光を遮った。少しずつ目が慣れていき、ゆっくりと開く…。
「……!?」
「…誰もが同じ反応をするよ。この光景を見るとね。くヒヒッ。いやァ…いつ見てもこの瞬間は堪らない。おっと。吐くなよ?ここは【調理場】なんだ。汚さないでくれ。さっきも1人【捕まえた】ところだから…。キミにも、見てもらおうかな?」
狼の面を被った男は、ゆっくりと歩き出し、2メートルほどの木タンスの前に向かい、扉を開けた。キィぃ…。と古い音を立てながら開かれた扉の奥には、女性が裸で吊るされていた。口はガムテープで防がれ、両手両脚はロープで縛られていた。女性は瞳に涙を浮かべながらガタガタと震え出し、黄色い液体が腿をつたって床に落ちた。狼の男は面をゆっくりとり、台の上に乗せた。
「あア…。いい顔だ。滾ってしまうなア」
そう言うと、男は服を脱ぎ全裸になり、腕を伸ばして指先で優しく女性の首元から乳首の先まで這わす。胸を揉みしだき、乳首を舐め回す。女性は言葉を奪われ、ただ涙を流し必死に身体をくねらせる事しかできない。その間にも男の執拗な責めは続き、遂には男の肉棒が女性の性器へと入れられる。
「うゔッ…ん…ッッッッ!!!!!」
女性の声にならない叫びが青年の耳に飛び込む。
「や…めろ…!お前は…何がしたいんだ…!?」
「あァ…気持ちがいい…。キミ、ホントおしゃべり。まだ終わってないんだから、そこで見てなよ。今、終わらせるから」
男はそういうと女性の首元に自身の口元を押し当て、左手で喉元に触れた。もう片方の手で勢いよくガムテープを剥がした。
「あッんッ…。おね…ッが…んッ…!もう…。やめでぐだざ…い…!!!」
女性の悲痛な叫びが、こだました。
「かわいそうに怯えてしまって…。まァ…。その方が美味いんだよね」
「美味い…?…!!やめろッ!!!」
「…ゴぶァ…ッ!!!!?」
グチャグチャと音を立てながら、次々と女性の首元から皮膚を歯でむしり取り、肉に食らいつく。辺り一体に赤い体液が流れ込んだ。
びちゃびちゃと。舌先で赤い体液を舐めまわし、男は台に置いた面を再び被る。
「あァ…。オンナはこの食べ方が1番だ…。…キミ。よく見てくれたかな?…おいおい。汚すなって言ったじゃないか。…まァ。許そう。僕は今、最高に気分が良い」
男は白いハンカチで口元の汚れを拭き取り、ふぅとため息をついた。
「さて…。事も済んだし、キミの質問に答えようか。ここは、僕の餌場。今までこうしてキミのように来てもらっては【ゲーム】に参加してもらってるんだよ。キミとそこの餌と、あと…2人いるかな?」
男は欠伸をしたあとに話を続けた。
「ゲームの内容は、僕から3日間逃げ切る事だよ。捕まらずに逃げる事ができたら、うちへ帰してあげる。…あとルールも説明しておくね?餌同士で殺し合うのはダメだよ?数が減ったら楽しい食事が台無しだからね」
男はニタリと歯茎を見せながら笑みを浮かべた。
「さアて…。キミはどんな味がするのかなア?」
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