踏み外す彼女⑧
翌日の朝、俺は少し早めに部室を後にして1-Cに足を運んでいる。昨日のいい奴に協力を
遠目から教室の中を
「あれ?
この前知り合ったばかりの人物が俺の横を通りかかった。目が点になってる。相変わらずわかりやすいやつだ。
「おはよう、
「お、おはようございます」
わたわたしながら挨拶を返してくる。全く状況を飲み込めてないらしい。ちょっと面白いな。
「ところで、
一気に彼の表情が
「あぁいや、あいつに頼みがあってな」
誤解されると嫌なので俺はそう付け加えた。
「はぁ、
と鶴島は警戒体制を解いて言った。ストーカーとか言われなくて本当に良かった。
「そうか、ありがとう。んじゃ昼休みに中庭、行ってみるわ」
それじゃっと手を上げて
教室に戻ると
「なんでここにいるんだよ」
こんなときどんな反応をすれば良いのかわからなかった俺はぶっきらぼうにそう言った。
「えっと〜。センパイに会いたかったから♡?」
語尾にハートとハテナが付いてる気がするのは気のせいだろうか。
「なんで
「て言ってもまぁ、センパイに会いにきたのはついでなんで」
いかん、こんなとこでニヤけたら周りの猛獣たちに後で何されるかわかったもんじゃない。男だけのクラス怖い。
「ま、センパイの顔も見れましたし、私はもう行きますね〜」
そう言って立ち上がり、ちゃっかり机の横に掛けていたバッグをよっと持ち上げて歩き出す。
そこで俺は彼女に用事があったのを思い出す。
「ああ、ちょっと待った」
沙木は、ん?と首だけこちらに向いて頭をかしげる。なにそれすごく可愛い。ナチュラルな可愛さも持ってるのかこの子。
「今日の放課後ちょっといいか?」
沙木は少し考えた後
「それじゃあ、放課後教室まで迎えに来てください」
と進行方向に向きながら言って、教室を出て行った。
唯一清らかったあの言葉は遥か遠くの空音だった 安野瑠優 @ru_anno
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