銃と魔法と技術の世界

世界

 舞台は異世界。かつては剣と魔法の世界と呼ばれた中世ヨーロッパ風の世界観。人類側の主要国は全部で七ヵ国あり、魔族は三ヵ国。合わせて十の国が存在していた。魔族と人間が戦う傍らで人間同士、魔族同士もまた国家間で戦争し合う間だったが、一人の勇者が世界を終わらせたため戦争は終結。当時兵器が使用された魔族の国家は領土ごと蒸発。時空ごと断裂させた空間からは謎の異界生命体が出現、人類、魔族関係なく襲撃を重ねていった。

 人類側の被害は残り四ヵ国、魔族側は二ヵ国となり、終戦協定が成立。世界は人間と魔族が争うのではなく、この世界の生命と異界の生命が争うようになり、それから四百年が経過した。

 それまでは剣と魔法が支配していたが、勇者が伝えた多数の科学技術により、現在は魔法と科学技術を融合させた、新たな技術体系が確立されている。魔力を蓄える技術や、魔力を新たなエネルギーとして活用する技術、逆に電力や磁力、化学反応など物理・化学技術もこの世界に浸透し、学問体系は複雑な様相を呈している。

 異界生命体が蔓延る世界においては、純血の魔族や人間よりも当時から一定数存在した混血の方が有利であることが分かっており、終戦協定も相まって今では魔族と人間の混血はかなり多く、純血を探すことの方が難しいほど。なお、現在大陸で最も大きい人類側の国家であるエレステラの王族は純血であり、魔族側の代表である四代目の魔王もまた純血である。

 現在でも国家という枠組みは存在しているが、国家全体で固まっているわけではなく生活集団は都市単位。



都市

 ここでは主要国家であるエレステラについて述べる。


 現在のこの大陸の人類(魔族含めこう呼称する)の生存圏は結界の技術を応用した防壁と、分厚い外壁によって外の世界から守られている。空からの外敵に対しては天井に結界が張られている他、地対空砲によって侵入を果たした異界生命体を撃ち落とすことができる。巨大な壁の安心感が強いため、都市部防衛兵器はもっぱら対空兵器が主要となっている。

 政治体形は議会制の直接選挙制。ただし象徴として王族が存在し、エレステラ中央区に王族の居住区域として王城が残っている。政治には直接干渉をすることはできないが、影響力は未だ残っている。

 議会が存在するのもエレステラ中央区であり、中央区はエレステラの中で最も集権された都市部である。が、ビルが立ち並ぶといったわけではなく、街並みはかつての面影を残す、中世ヨーロッパ風建築が立ち並んだ複雑に入り組んだ旧市街と、三十年ほど前に大規模区画整理が行われて碁盤の目状になった新市街の二つである。いずれも高い建物は無く、王城が最も高い場所に位置している。これは、天井に張り巡らされた結界の存在により建造物の高さ制限が設けられているため。

 移動手段は主に魔力で駆動する車であり、ガソリン車などと違い排気ガスを出さないので極めてクリーン。街中には路線バスも数多く存在しており、住民は無料で使うことが可能である。

 地区間の移動は行われていないわけではないが、壁の外に出るということは即ち異界生命体との戦闘が増えるということであり、交易などは半年に一度程しか行われない。腕に自信のある者は異界生命体と戦闘を続けながら別の地区へと旅をすることもあるが、かなり稀な事象である。



魔力銃

 魔力を弾丸として打ち出す銃。グリップを強く握り込むことで魔力を吸収する仕様になっており、しっかりと握り込んで引き金を引くと吸収した魔力の一部を用いて圧縮された残りの魔力に推進力を与える仕組み。

 ハンドガン、小銃程度であれば個人の魔力でも使用できるが、兵器利用されるような大型重魔装は予め蓄積された魔力を用いる場合が殆ど。

 異界生命体には魔力での攻撃が極めて有効であり、火薬を用いた銃や通常の剣といった魔力を持たない武器は殆ど研究されずに消滅した。

 魔力を弾丸として撃ちだす関係上、魔力が続く限り弾切れは存在しないが、銃内部に蓄積された魔力が尽きた場合は再度魔力を充填する「リロード」が必要になる。なお、改造を施せばリロードを必要とせず無尽蔵に撃つことも可能だが、際限なく魔力を吸収され死に至る可能性もあるため、リロード機構の改造は違法となっている。

 銃の威力を決めるのは弾丸に使用する魔力の量と、弾丸を加速するために使用する魔力の量。単純計算を行えば魔力をつぎ込む程威力が増すが、実際には拳銃の機構の都合上、拳銃内のパーツに威力は依存する。

 威力を決めるのは大まかに「魔力結晶」と「加速術式」、「銃身の長さ」である。魔力結晶は魔力を蓄積するための物で、銃の良し悪しはこれに大きく依存する。錬金術を使用して既存の鉱石から錬成するほか、異界生命体が核として落とす場合もある。

 加速術式は魔力の弾丸を加速して発射させるもので、大きければ大きいほど弾丸を加速できるが、加速度に比例して消費する魔力と銃本体に占める割合が大きくなる。また、これを解消する方法として銃身を長くすることで、加速術式をより長い時間弾丸へ作用させることも可能である。一般的に、専用の拡張バレルを装着することで速度を上げることができるが、十分な威力の違いを得るにはそれなりの長身バレルを付ける必要があるため振り回しには向かない。



科学技術

 電子技術が異様に発達している(異世界から来た転生勇者たちがコンピューターを使いこなしていたため)。

 サーバー、ネットワークなどの技術は魔術で代用することで既に確立されており、プログラミングも独自の魔術式と言語を用いて書かれている。他のコロニーとの通信も積極的に行われており、電子情報蒐集駅DIS(Digital Infomative Station)と呼ばれる全世界情報共有サーバーが存在する。サーバーが存在しているのは現実世界ではなく、世界の形而上魔力場の歪みを1/0として入出力を行っている。形而上魔力場は魔素ゆらぎと並行世界解釈により無限にその容量を増やすことが可能であり、現在理論上使用できるデータ容量は3960億ヨタバイト。

 魔力でデジタルデータが制御されている関係上、DISは魔力を少しでも持つものは誰でもどこからでもアクセスが可能。また、魔力を持たない者でもコンソールからアクセスは可能。

 DISはパブリックとプライベート、オフィシャルの三種類に分かれており、パブリックは文字通り公開データ。誰でも書き込み、修正を加えることができ、情報速度は最も早いが誤情報も多い。現代世界で例えるのであれば、「Wikipedia」や「掲示板」、「公開された個人サイト」。

 プライベートは閉じられた非公開空間。特定の魔力波を波長変形することでPKIとし、特定の個人しかアクセスできないようにする。理論上、形而上魔力場に直接干渉することは至難の業であるためにプライベートは現代世界よりも数倍プライベートである。

 オフィシャルは国家に認可された者以外が編集を行うことができない。情報は遅いが精度は確実。都市部の情報や報告、その他一部地点からの街頭ビューなどを閲覧できる。

 クラッカーは存在しないわけではないが、魔力ゆらぎと並行世界観測の演算を行うためには観測領域以上の演算領域を必要とするために、演算で行うことは事実上不可能。ごくまれに非常に魔力場に適正を持つ者は演算領域を自分の脳内で完結させるために、そのセンスのみでクラッキングを完了させることができる。

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