Desperado～エピローグから始まる異世界放浪紀

第38話 Double Vision 4

カメリアの住む女神の間は白い砂が敷き詰められた砂浜であった。

優しい波の音が聞こえ、エメラルド色の海が遙か彼方まで広がっている。

「おお～美しいね～　カメリア!　センス、いいな～」

「フフフフ!そうでしょう～」

カメリアは指をパチンと鳴らすと丸い白いテーブルと白い椅子が三脚表れた。

手で着席を促す。

全員が着席するとパンパンと二回手を叩いた。

するとどこからとも無く4人のビキニ姿の女性が現れた。

下半身にパレオを纏った纏った長い金髪でスラッとした美女。

（おお、美人美人!　胸も大きく最高だ!!）

ラフにカットされた赤髪で肌は少し浅黒く焼け筋肉質で露出が一番高いビキニの大柄な女。

（うわ!　俺より良いガタイしてるじゃねーか!　胸は・・・・・大きいがほとんど筋肉だな）

白髪のロングでおどおどとした雪のような肌をし胸にフリルが付いたビキニの女の子。

（気が弱そうな子だな～　胸のフリルは貧乳を隠すためのアクセントか）

緑色の髪をしたセミロングで片目が髪に隠れている最も小柄な少女。

（ウヲ!小さい割りにデカイ!!）

「いて!!　何すんだよ!」

グリースが男のいやらしい視線に気づきテーブルの下で足を踏んだ。

「お茶でも飲みながら、話しましょう」

カメリアの言葉で3人の女性はティーカップを、薄紫の一番小柄な子が丸いボウルを持ってテーブルに置いた。

男の前には金髪の一番美しい女性が手ティーカップを置く。

金髪の髪が男の目の前で流れる。

「いい臭い!」

男は思わず口に出してしまった。

金髪の美しい女性の瞳が男を一瞬にらむ。

「あっ!　紅茶ね」

男は咄嗟に誤魔化す。

他の女達も持って来た物をテーブルに置くとカメリアの後ろに下がった。

「どうぞ」

カメリアの勧めで男はティーカップには言っている紅茶に口をつけた。

「美味しいね～　さすが、今一番力をお持ちのカメリア様だ!!　

　ディンブラーかな!?　特上の茶葉を用意してくれているね～

　入れ方も完璧じゃないか!　この茶葉の特徴をよく分かっているね～

　こんな美味しい紅茶飲んだのは久しぶりだよ」

「凄いわね。茶葉の種類まで分かるなんて」

「渋みが特徴なんだが、それがかえって爽やかな味わいがあるんだよ。

　うんうん、美味しい。

　紅茶は熱い温度で出さないと風味が飛ぶし、長い時間、茶葉お湯に浸けると苦味と渋みだけになってしまうからね。

　茶葉の良さを完璧に引き出しているね。素晴らしい」

「と言うことよ!ディアナ」

「ありがとうございます」

カメリアの後ろに立つ金髪の女性が頭を下げた。

「あなたのことをグリースに習って、今後はシロと呼んでも良いかしら?」

「あぁ、好きに呼べ」

「え～～～ダメ!　シロと呼んでいいのは私だけよ!」

「今さら何言っているんだ!　シロなんて俺の呼び名で一番多い呼び名だぞ!」

「え!そうなの!」

「そうだよ!　どいつもこいつもローブが白いから、そこから取ってきやがる!

　どれだけ単純なんだよ!」

「だって、それはあなたが名前を名乗らないのがいけないんでしょ!」

「まぁ～そうだが・・・・今さら名前なんてどうでもいい。カメリアも好きなように呼べ」

「そう。それなら私もシロって呼ぶわ」

「ブーーーーーー」

とグリースがほっぺたを膨らませた。

「本題に入る前にこの子たちを紹介しておくわね。

　あなたに向かって右からディアナ」

金髪の美女が頭を下げる。

「フラン」

赤髪の大柄な女性が頭を下げる。

「シア」

胸が寂しい子が頭をさげた。

「シャーロット」

小さいのに一番胸の大きい子が頭を下げる。

「私の作った世界で困ったことが起きてるの。

　強い魔王が暴れていて、世界の発展を阻害しているの」

「俺にそいつを討伐しろってことか?　分かった。ちょっくら行って、速攻で処分してくるよ」

「それじゃダメなの。

　どうもその世界は、魔素の循環が旨くいっていないのよ。

　そのためなのか異世界から勇者を召喚しても、ことごとく魔王に倒されているの」

「何だよ、50個以上も世界を作っていて失敗しているのかよ!

　当代一の『閉ざされた世界』作り手じゃなかったのかよ!」

「その上手くいっていない世界は、どこかの誰かが一度、魔素を全部吸い取っちゃった世界なんですけど。

　その後、魔素がバランスよく安定してくれないのよね～　誰のせいなのかな?」

カメリアは人の悪い笑みを浮かべた。

「うっ!　だ、だ、誰のせいだろうな～」

男は冷や汗を流しながらキョロキョロと左右を見た。

「私は犯人が誰だか検討はついているのだけれど、今はそんなことどうでもいいわ」

「うん、そんな些細なことはどうでもいいことだよな!　うん!」

と男は話を誤魔化し真剣な顔をして

「そんなに強い魔王なのか?」

「今まで10回ほど異世界人を送っているのだけれどもすべて返り討ちに合っているわ」

「10回か・・・・そりゃなかなか強そうな魔王だな。　

　でも魔王を倒すだけなら俺が行けばいいじゃないか?　なぜダメなんだ?」

「それはこの子たちのためなの」

「こいつらの?」

「この子たちに魔王を討伐させて欲しいの。異世界からの召喚者を10回も倒した魔王を討伐してから神になれば箔がつくでしょ。

　私のところから独立してからも他の新人の神の中でもステータスが高くなるから色々とやりやすくなるでしょ」

「下駄を履かせると言うことか。神様も楽に見えて色々と大変なんだな～

　俺をこき使うどこぞの神とは大違いだな!」

とグリースの方を見て言った。

「なによ～～　私だって色々忙しいのよ!!」

グリースはほっぺたを膨らませた。

「何よりこの子たちに人間界で経験を積んでもらいたいの」

「親心か・・・・・」

と言うと男は腕を組んで少し考えた。

「それに『勇者伝説』がある世界の方が信仰心が高くなるの」

カメリアはニコッと笑った。

「打算かよ!」

と男が言った。

「10回って言うのも気になるな・・・・・異世界から召喚されれば、だいたい基礎ステータスが上がるだろ。

　召喚先の世界の人間より遙かに強くなるはずだろ。

　それに何らかのギフトが贈られるだろ。

　最初に失敗すれば次の召喚者たちには、もっと強力なギフトを贈るだろ!?」

カメリアは黙って頷いた。

「10回目ともなれば尚更だ!　相当強力な召喚者を選んで強力なギフトを贈っているだろ・・・・何か臭うな」

そして男はしばらく考え込んだ。

『その世界の魔王はどんなヤツだ?」

「それが何一つ分からないの」

「分からない?　10回も失敗していれば監視を強化するはずだろ」

「魔王城内部は一切、監視が出来ないのよ」

「神であるお前の力をも上回ると言うことか?」

「かもしれないわね」

「やっぱり臭うな・・・・・・」

と言うと男は再度考え込んだ。

「カメリアの考えているシナリオ通りいかないかもしれないが、結果的に小娘どもが魔王を排除し『勇者伝説』を残せればいいんだな」

「ええ、それでいいわ。委細はあなたにお任せします」

「じゃ早速取り掛かるとするか!　さっさと終えてオババの元へ帰りたいのでね」

と男が立ち上がるとカメリアが男の側により耳元で囁いた。

「気に入った子がいたら食べちゃってもいいわよ」

とウインクをした。

（この女!　くえねーー!!　腹黒だ!!）

と思う男であった。