追加エピソード3

本日はコミカライズとびじょの三巻発売日ということで、なんとかまにあわせました。

書店などで見かけましたら、よろしくしてやってください。

ーー



 何かの雑誌で『男女とも初めての性行為で上手くいく方が珍しい』と書かれていた。

 男は緊張で勃起がしにくくなるし、女は処女の痛みというのは(個人差はあるが)かなり痛いものだからである。

 で、結局結城と小鳥はどうだったかというと。


「……はあはあ、はあ。ちょ、ちょっと勢いよく出過ぎてアソコ痛い」

「……ふうふう、ふう。わ、私もその、イキ過ぎて腰が……」


 メチャクチャにいい感じだった。

 結城の方は最初は緊張で少し勃起が弱かったが、小鳥が体を触ったり舐めたりするたびに可愛い声で喘ぐので、入れるときにはもうバッキバキのビッキビキになっていた。

 一方小鳥は、処女の痛みがドM的には逆に気持ちよかったらしく「痛いけどそれがいいのー!! もっと、もっと、激しく、ん~~~~♡」などと言って、愛液をまき散らしてイキ続けながら感じまくっていた。

 あまりにも可愛くてエロくて、射精がしばらく止まらなかった。


(とんでもない量出たな……)


 結城は自分の液を受け止めたコンドームを見て、素直にそう思った。

 大坂から渡されたゴムがパンパンになってしまっている。普段一人でしてる時の三倍は出たのではなかろうか?


(……さて、このまま寝るわけにはいかないよな)


 何せシーツは色々な液や、小鳥の血でびしょびしょである。

 結城は疲労した体を起こすと、小鳥がいつも畳んで置いてくれているタオルを二つ持ってきて、一つを小鳥に渡すともう一つで自分の体を拭く。


「あ、私が……きゃ!?」


 小鳥が起き上がって手伝おうとしたが、感じ過ぎて腰が抜けてしまったらしくバランスを崩してベットに倒れる。


「ふふ」


 そんな姿も可愛らしくて、結城は思わず笑ってしまう。


「大丈夫だよ。ほらシーツ変えるから転がって」

「……はい」


 小鳥は素直に結城の言葉に従ってベッドの上を転がって、結城はシーツをはがす。

 そして、これも小鳥が小さく畳んでしまっておいてくれていたもう一つのシーツを、小鳥に上手く転がってもらいながらベッドにかける。

「よし、と」

 結城はそう言うと、再び小鳥の隣に寝転がる。


「……ふう」

「……はあ」


 シーツを交換している間に落ち着いた結城と小鳥は、大きく一息つく。

 そして、結城は改めて小鳥の方に向き直った。


「小鳥……その、メチャクチャ可愛かった」

「そ、そうですか」


 小鳥は赤くなった顔を布団に半分埋めながら返事をする。


「その……結城さんも私のこと抱きしめる力とか凄く強くて胸板とかも厚くて、男らしくてエッチでした」

「お、おう、そうか……」


 女の子から見て自分のここが性的だと言われると、物凄く複雑な気分になるなと思う結城。


「……夢みたいです」


 小鳥は結城の腕にギュッと抱きながら言う。


「夢?」

「はい。結城さんとこうなる日が来るのを願っていたので……夢に見てしまったりとか……一人で色々と想像したりとか……他にも……」

「他にも……?」


 結城がそう聞き返したところで、小鳥はハッとして首を横に振る。

「あ、いえ、忘れてください」

「なんだよ、気になるじゃないか」

「な、内緒です……」


 小鳥はそう言って首をブンブンと横に振った。

 そんな恥ずかしがっているところも可愛い。

 そこでふと、結城は思いつく。


(……これ、もっと恥ずかしがらせたらもっと可愛いんじゃないか?)


 そんな心に浮かんだ邪念を、結城は初体験のテンションのままに実行する。

 まあ、いいだろう。なんか小鳥、こういういじられ方するの好きみたいだし。

 結城は小鳥の耳元に口を近づけて言う。


「……なあ『他にも』ってなに?」

「ひゃうん!!」


 耳の敏感な小鳥はそれだけで可愛らしい声を上げる。


(ダメたコイツ可愛すぎる、止まらん……)

「……小鳥、教えてくれよ。他にはどんなことをしてたんだ?」

「ふああ!!」


 結城が耳元で囁くのに合わせて、ビクンビクンと体を震わせる小鳥。


「だ、ダメです……恥ずかしい……」

「……俺に隠れて、そんなに恥ずかしいことしてたのか? 余計に気になるなあ」


 耳元で囁くようにそう言いながら、小鳥の首筋にキスをする。


「あ、あひい」


 もはや漫画でしか聞いたことのないような声を上げる小鳥。


「……どうしても教えてくれない?」

「わ、分かりました。言います、言いますから……」


 小鳥はふーふーと息を吐いて呼吸を整える。


「そのですね……結城さんの服とか布団の匂いを嗅ぎながら……一人で……」


 そして布団の中に顔を全部埋める。


「一人で……しちゃってました……お、オ〇ニーを」

「……」


 沈黙する結城。


「は、恥ずかしい……だから言いたくなったんで……ひゃう!!」


 結城は小鳥が顔にかけている布団ごと思いっきり抱きしめた。


「小鳥ぃ、お前ってやつは……お前ってやつはホントもう……」


 可愛すぎてどうにかなりそうである。

 というかどうにかなってしまったので、顔にかかっている毛布を剥ぎ取ると小鳥の口に思いっきりキスをした。


「んん!?」


 驚く小鳥。

 しかしすぐに体の力を抜いて、結城の舌を受け入れる。


「ん……ん……んん……」


 舌を絡ませ合って、互いの存在を自分の中に混ぜ合わせるような、そんなキスを何分間も続けた。

 結城の中にある本能的な何がかが、この愛しい生き物を全力で味わいつくすのだと全力で叫んでいる。


「ぷはっ……はあ、はあ」

「ふひゅー、ふひゅー、かひゅー」


 唇を話すころにはお互いまた息を荒上げていた。

 小鳥に関しては過呼吸にでもなったかのように、呼吸をするたびに変な音が漏れている。


「……ああ、幸せだ。ホントに幸せだ」


 結城はまた小鳥を抱きしめる。


「はい……私も、幸せです……」

「小鳥……これからもずっと一緒にいてくれ」

「はい、ずっと一緒にいます」


 そうしてまた、結城と小鳥は抱き合った。

 強く、優しく、お互いのぬくもりを感じながら。

 きっとこの先も、何度も何度もこうして小鳥を抱きしめるのだろう。

 飽きることなく、何度も何度も。

 それは……幸せなことだな、と結城は思ったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか? 岸馬きらく @kisima-kuranosuke

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ