#3 ポンコツ王子と黒魔術師の呪い
登場人物
マリーヌ…マトカリア王国の最強女性騎士。ルビィと世界征服の力を持つ宝石を守る。
ルビィ…マトカリア王国の姫。世界征服の力を持つ宝石を守る。両親が過保護なため、なかなか城の外に出られない。
ジュール…世界を股にかける大泥棒。ルビィ姫を狙っている。
ポール…マトカリア王国の隣国、バベーナ王国の王子。魔法の国の王子でありながら、魔法を使えないお調子者。
ギム…バベーナ王国の魔法学校に通う生徒であり、ポールの悪友。黒魔術を独学で勉強中。
(バベーナ魔法学校寮の一室、ギムの部屋。ポールがくつろいでいる。そこへギムが帰ってくる。)
ポール:おーおつかれ。
ギム:帰れ不法侵入者。
ポール:僕はこの国の王子であり、ここは国営の魔法学校。僕の出入りは自由に許可されている。不法侵入じゃありませんー。
ギム:だからといってプライベートな場所にズカズカと入ってきていいわけないだろう。
ポール:もー、そんなこと言うなよ。僕とお前の仲だろう?
ギム:親しき仲にも礼儀あり。用があるなら事前に言えよ。
ポール:何?僕そんな言葉知らない。
ギム:勉強しておけ、このバカ王子。
ポール:勉強はギムがやってくれてるじゃん。お前が賢くいてくれれば、僕が王位についてもなんの問題もなく国を動かせる。
ギム:俺は賢者になるつもりはないぞ。
ポール:そんなこと言うなよぉ。お前ほど優秀で、その上こんなに気のおけるやつはなかなかいないんだから。
ギム:全く、バベーナ王国の王には魔法の使える賢者がつくというシステムのおかげで、お前は王位を継げるようなもんだよな。
ギム:魔法も使えない上に、頭も良くないお前みたいなポンコツ、他の国じゃ、たとえ王家の血を引き継いでいても王にはなれないだろう。
ポール:本当ギムくんはズカズカとモノを言うよね。
ギム:本当のことを言ってるだけだが?
ポール:まぁいいや。それよりも、今日はギムにお願いがあってきたんだけど・・・・・
ギム:断る。
ポール:まだ何も言ってないけど!?
ギム:お前が持ってくるものは大体厄介ごとだからな。面倒ごとには巻き込まれたくない。
ポール:お前は僕をなんだと思ってるの??
ギム:その言葉、そっくりそのままお返ししてやるよ。
ポール:なーなー。お前もどうせ暇なんだろ?親友の頼み、聞いてくれよぉ。
ギム:本当お前失礼だよな。・・・・・・まぁいい。話だけなら聞いてやろう。
ポール:さっすがギムくん!なんだかんだ言って優しいよね!
ギム:いいからさっさと話せ。でないとこの部屋からつまみ出すぞ。
ポール:わかったわかった。今話すよ。僕が誰に恋をしているかって言うのは前に話したよね?
ギム:マトカリア王国の姫様だろ?ずいぶん前にこの学校に視察に来た。
ポール:そう!あの美しくて聡明なルビィ姫様。あれほど素敵なお方を僕は見たことはない。この学校で彼女を見てから、
ポール:僕は彼女に夢中なんだ。彼女に惚れない奴なんていないだろう。
ギム:もう何度するんだその話。聞き飽きたよ。
ポール:彼女とお付き合いしたい!でも!彼女が城から出ることはほとんどない!もう成人の儀式も済んで、マトリカリアの国宝を
ポール:守るつとめもはたしている。なのに!お誘いは全て断られてしまう。公式のパーティーですら、彼女はやってこない!
ポール:この気持ち、一体どうやって伝えたらいいんだ!
ギム:手紙でも送ればいいじゃないか。
ポール:そんなの、届くかも怪しいじゃないか!返事も返ってこなかった日には僕はもう立ち直れないよ・・・・・・
ギム:じゃあどうするんだよ?
ポール:そこで、僕は作戦を考えた。姫をなんとかパーティーに呼んで、僕に振り向いてもらえるようにするとっておきの作戦を!
ギム:そうか、じゃあ、あとは実行するだけだろう。せいぜい頑張ってくれ。
ポール:いやいや、作戦成功を応援してほしくてわざわざお前を訪ねたわけじゃないんだよ。
ギム:はぁ。
ポール:ちょっとばかりギムくんの力を借りたいんだ。君が取得しようとしているその・・・・・・黒魔術で。
ギム:断る。
ポール:なんでよぉ!!
ギム:話を聞くだけだって言っただろう?
ポール:そぉだけどさぁ。この作戦はお前の力がないと成立しないんだ。
ギム:どうして相談する前に協力する程になっているのかな?
ポール:いや、優しいお前だったらきっと協力してくれるはずだと思って。
ギム:本当お前は俺をなんだと思っているんだ?
ポール:お願いだよ。親友を助けると思って協力してくれよぉ。
ギム:いやだ。
ポール:じゃあ、じゃあ、報酬を出そう。これでどうだ?
ギム:・・・・・・お前しつこいぞ。
ポール:一生のお願いだ!親友の恋を助けてくれ!
ギム:・・・仕方ないな。わかったよ。
ポール:ありがとう、ギム!!さすが僕の親友だ!!
ギム:本当困った王子だな。バベーナ王国はこんなんで大丈夫なのか?
(朝。マトカリア王国。ルビィ姫の部屋。ルビィは自身のベットで眠っている。)
マリーヌ:ルビィ様!お休みのところ申し訳ありません。大変なことが起こりました。
ルビィ:ふあぁ。おはようマリーヌ。こんな早い時間から珍しいわね。
マリーヌ:そんな呑気なことを言っている場合じゃありません!一緒に国王様たちの部屋に来てください!
(ルビィ、マリーヌに連れられて王の部屋へいく。)
犬:わんわん!
猫:にゃー
ルビィ:あら、可愛いワンちゃんと猫ちゃん。お母様が拾われたのかしら?というか、お父様とお母様は?こんな朝から用事かしら?
マリーヌ:あの・・・・・・ルビィ様。どうか貴方様の持つ魔力で、この動物たちの正体を見破っていただけないでしょうか。
マリーヌ:おそらく私の悪い予想は当たっているかとは思いますが。
ルビィ:よ、良くわからないけどやってみるわ。(犬と猫に手をかざす)ってええぇ!?お父様にお母様??
マリーヌ:やはり・・・・・・
ルビィ:え?何これ?どうなってるの??
マリーヌ:このような事例には以前私も出会ったことがあります。これは間違いなく魔法、どちらかといえば呪いに近いものです。悪意ある何者かが、国王陛下たちを狙って呪いをかけたのかと。
ルビィ:一体誰がこんなことを?
マリーヌ:わかりません。ルビィ様、貴方様の魔力の力で、どうにかすることはできませんか?
ルビィ:私たち一族はただでさえ宝石を守ることに特化しているから。ましてや修行中の私では他人がかけた呪いを解く力はないわ。
ルビィ:お父様だったらできただろうけど・・・・・・
犬:わんわん!
ルビィ:こんな姿じゃとても無理ね。
(王の部屋に召使いがやってくる)
召使い:失礼いたします。おはようございます、国王陛下。隣国のバベーナ王国よりお手紙を預かっているのですが・・・・・・
召使い:おや、これはこれはルビィ姫様に、マリーヌ様、おはようございます。ところで国王陛下は・・・・・・?
ルビィ:お、おはよう。えーと、お父様なら、朝早くから湖の方までお散歩に行きましたよ。
召使い:おかしいですね。そのようなご予定はなかったかと・・・・・・。
ルビィ:お父様はあれでも気まぐれなところがあるからね。ところで、そのお手紙、私がお父様に渡しておくわ。
召使い:ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。(部屋から去る)
ルビィ:とにかく、お父様とお母様を元に戻す方法を見つけないとね。ところでこのお手紙は何かしら?
マリーヌ:隣国のバベーナ王国から、と言っていましたね。
ルビィ:(手紙を開けて読む)これ、パーティーの招待状だわ!他国との交流をより深めるために隣接する国の王族の皆さんを招待しているみたい!
マリーヌ:こんな大変な時にパーティーとは。国王陛下たちがこのようなお姿じゃ、パーティーには出席できませんね。
ルビィ:いいえ。私が行くわ!
マリーヌ:ル、ルビィ様?
ルビィ:他の国との親交を深めるための大事なパーティー、国として参加しないわけにはいかないでしょ!!
マリーヌ:しかしルビィ様、今は国の一大事・・・・・・
ルビィ:もしかしたら、時間が経てば解ける呪いかもしれないわ。それに、バベーナ王国は偉大な魔法使いが作った国。優秀な魔法使いもたくさんいるわ。もしかしたら、呪いを解いてもらうことだってできるかもしれない!
マリーヌ:ルビィ様・・・・・・
ルビィ:(小声で)お父様とお母様が喋れない今、私を止められるものはいないわ。こんなチャンス、二度とないかもしれないんだから利用する手はないわ。
マリーヌ:ルビィ様!!
ルビィ:と、とにかく、国のためにも、お父様とお母様のためにも、私がパーティーに参加するわ!!いますぐ準備しなくっちゃ!!
マリーヌ:はぁ。
犬:くぅーん
マリーヌ:ご心配ありません、国王陛下。呪いのことも、姫様のことも、私がどうにかいたします。
(マトカリア王国城内の廊下。マリーヌが浮かない顔で歩いている。)
ジュール:おや。そこにいるのは最強騎士さんじゃないか。どうしたんだ?なんだか浮かない顔をしているな。
マリーヌ:全く、城内を我が物顔で歩くんじゃない、このドブネズミが。この場でひっ捕らえてやりたいところだが、今はコソ泥を相手している場合ではないんだ。
ジュール:大泥棒を目の前にして捕まえないなんて、それはよほどの緊急事態だね。何があったのか俺様にも教えてくれよ。
マリーヌ:国王陛下と王妃様が何者かに動物に変えられてしまった。
ジュール:あ、話してくれるんだ。
マリーヌ:まるでそれを見計らっていたかのように魔法使いの多いバベーナ王国からパーティーの招待状がきた。
ジュール:他の国からならともかく、魔法で有名な国からっていうのはちょっと引っかかるね。
マリーヌ:ただただ我が国に対して恨みがあっての犯行か、それとも目的は宝石か。
ジュール:どちらにしても俺のお姫様が巻き込まれるのは間違いなさそうだね。まさかそんな怪しげなパーティーに参加するとか言わないよね?
マリーヌ:残念ながらルビィ様は行く気満々だ。久しぶりのパーティーだって言ってはしゃいでおられる。
ジュール:ずっと閉じ込められている箱入り姫さんだもの、そうなるよね。
マリーヌ:国王陛下と王妃様がいるならともかく、その2人が喋れないとなると、私一人でルビィ様を止めるのはなかなかに至難の業。
ジュール:最強騎士さんはなんだかんだお姫様に甘いものね。
マリーヌ:とにかく、相手の目的がなんであれ、国王様と王妃様を元に戻させる。もちろん、姫様も守り抜く。
ジュール:俺様もバベーナ王国のパーティーまでついていこうかな。俺の姫様に何かあったら困るし、パーティーで俺のお姫様を誰かのものにされるのも面白くない。
マリーヌ:好きにしろ。お前もルビィ様同様、言ったところで聞かないだろう。
ジュール:最強騎士さん、俺様がお姫様を守るためにわざとこのことを喋っただろう?
マリーヌ:さぁ?なんのことやら。
ジュール:全く。素直に助けてくれって言ってくれれば少しは可愛げがあるのに。
マリーヌ:あまり余計なことを言ってると本当に監獄にぶち込むぞ。
ジュール:はいはい。すみませんでした。それじゃ、俺様はこの辺りでズラがることにするよ。
(バベーナ王国城内、パーティー会場)
ルビィ:ねぇマリーヌ!パーティーってこんなに楽しいものなのね!みんな素敵なドレスを着て、素敵な音楽に合わせてダンスもして。ご飯だって、もちろんいつも食べているものも美味しいけどそれ以上に豪華だわ!
マリーヌ:ルビィ様落ち着いてください。楽しむのもいいですが、あくまで国王様と王妃様の代理で出席しているんです。あまりはしゃぎすぎないでください。
ルビィ:相変わらずお堅いのね。それにしてもマリーヌ、貴方のドレス、とても素敵だわ。
マリーヌ:こ、これはあくまでルビィ様の付き添いのため。いつもの格好で参るわけには行きませんから。
ポール:おぉ!これはこれは!!マトカリア王国の姫君、ルビィ様ではありませんか。
ルビィ:え、えぇ。私、マトカリア王国のルビィですが・・・・・・貴方は?
ポール:申し遅れました。僕はバベーナ王国の王子、ポールと申します。貴方様が一度バベーナが誇る魔法学校を視察なされた際にお目にかかっているはずですが・・・・・・覚えていらっしゃりませんか?
ルビィ:えぇ。ごめんなさい。あの時はなんだかとてもバタバタしていたので。だけどもお目にかかれて光栄ですわ。
ルビィ:本日はご招待いただきありがとうございます。
ポール:僕もとても嬉しいです。なかなかお目にかけることのできないマトカリア王国の姫様にお会いできるなんて。
ルビィ:私、両親が厳しいせいで、なかなかお外に出られないの。
ポール:おや、それでは今日はご両親どうかなされたんですか?
ルビィ:え・・・・・・まぁ少し色々ありまして。
ポール:そうなんですね。それではパーティーなんて久しぶり・・・・・・もしかしたら初めてでしょう。僕が楽しみ方をお教えいたしましょう、こちらにいらしてください。(ルビィの手を引っ張る)
マリーヌ:ちょっと、ルビィ様・・・・・・全く強引な奴だ。
(マリーヌ、パーティー会場のバルコニーで一人夜風に当たる。そこに変装したジュールがやってくる)
マリーヌ:ドブネズミのくせに、今日は随分と小綺麗にしているな。
ジュール:そりゃ、王族様たちの集まるパーティーだからな。
マリーヌ:このパーティー会場にまさか大泥棒が紛れているなんて誰も思うまい。
ジュール:まぁ俺様にかかれば変装だってお手の物よ。
ジュール:それよりも、王様たちに呪いをかけて俺のお姫様をどうにかしようとしているやつの目処はたった?
マリーヌ:完全にバベーナ国の王子だろう。
ジュール:ねぇ、それ嫉妬も入ってない?
マリーヌ:そ、そんなことはない。
ジュール:最強騎士さんともだいぶ長い付き合いになってきたからね。大泥棒の俺様にかかれば、考えてることもわかっちゃうよ?
マリーヌ:うるさい。確かにルビィ様にまとわりついて鬱陶しいなとも思っているが、ルビィ様に執拗に付き纏っているのが彼くらいしかいないんだ。
ジュール:確かに、パーティーの主催者も彼だしな。ただあの王子、魔法は使えないんだろう?呪いの方はどうしたんだよ。
マリーヌ:大方部下にでも指示したんだろう。バベーナ城には多くの魔法使いが使えているからな。
ジュール:目的はなんだ?
マリーヌ:おそらくだが、宝石じゃないか?バベーナの国王ならばマトリカリアとの関係もあるが、彼はなんの接点もない。国王様を恨む理由がないはずだ。
ジュール:それで?これからどうする?
マリーヌ:あの王子を問いただす。そして何がなんでも国王様たちを元の姿に戻してもらう。
ジュール:おぉ、力技。まぁいいや。俺様もいつまでも俺のお姫様にちょっかい出されているのを見ているのは気分良くないからな。
ジュール:ついていくぜ、最強騎士さん。
(バベーナ城のとある一室。マリーヌとジュールにポールが引っ張られてやってくる)
ポール:ちょ、ちょっと!いきなり何するのさ!僕を誰だと思ってるんだ。
ジュール:あぁ、よーく知ってるよ。バベーナ王国の王子、ポールだろう?
ポール:(マリーヌにつかまれていた腕を振り払いながら)だったらもっと丁寧に扱ってくれるかな!
マリーヌ:お前には少々聞きたいことがあるんだ。
ポール:なんの用だ?できれば手短にお願いしたい。
マリーヌ:では単刀直入に聞こう。マトカリア王国の国王様と王妃様に動物になる呪いをかけたのはお前だな?
ポール:え、な、なんのことかな?
ジュール:とぼけるのが下手か。
ポール:第一、僕が魔法を使えないのは有名なことだろう?どうやって呪いなんてかけるんだよ。
ジュール:ドヤって言うことじゃないだろう、それ。
マリーヌ:バベーナ王国には多くの魔法使いが使えている。王族であるお前であれはそいつらを使うことなんて造作もないことだろう?
ポール:それはそうだろうけど、でも・・・・・・!
ジュール:おぉ?まだ言い訳するのか?やめておいた方がいいぜ。こいつを誰だか知らないみたいだから教えてやるが、
ジュール:ここにいるのはマトカリア王国最強騎士、マリーヌさんだぜ?
ポール:マ、マリーヌ!?
マリーヌ:正直に話せ。そして一刻も早く国王陛下と王妃様を元の姿に戻せ。
ポール:ごめんなさい!僕がやりました!王様たちは元の姿に戻すから許してくれ!!
ジュール:どうしてこんなことをしたんだ?やっぱり宝石が目的か?
ポール:宝石?僕はお宝になんて興味ないよ。
マリーヌ:じゃあどうして?
ポール:僕はただ、ルビィ姫とお話がしたくて・・・・・・ただ僕に振り向いて欲しかったんだ。
マリーヌ:王様が口聞けなくなれば、ルビィ様もパーティーに来れるだろうと踏んだのか。
ジュール:なるほど。お姫様はモテモテだね。でも君に残念なお知らせをしなければならない。ルビィ姫様は俺のものなのでね。諦めてもらわなければ困る。
ポール:ふぇ?
マリーヌ:嘘ばかり言うな。ルビィ様は誰のものでもない。お前にだって渡すものか。
ジュール:それは騎士さんの決めることじゃないだろう?
マリーヌ:だとしてもお前にだけは絶対ルビィ様を渡さん。
ジュール:そんな硬いこと言うなよ。騎士さんと俺様の仲だろう?
マリーヌ:仲良くなった覚えはないが?
ジュール:相変わらず素直じゃないね。
ポール:・・・・・・。
マリーヌ:さぁ、話はこれで終わりだ。早く呪いを解け。でないと今回のことを公の場でバラしてやる。
ポール:は、はい!!今すぐにでも呪いを解かせます!!(走って部屋を出ていく)
ジュール:やれやれ。これで一軒落着か。さぁて。俺たちもパーティーに戻るか。俺のお姫様が変なやつに絡まれてないかも心配だ。
(マリーヌとジュール、部屋を出る。すると扉の前に偶然にもルビィがいる。)
ルビィ:あ!マリーヌ!!やっと見つけたわ!もう、一体どこ行ってたのよ!・・・・・・てそちらの方は?
ジュール:どうも、俺のお姫様。パーティー楽しんでるかい?
ルビィ:その口振りはジュールね?あなたもここに来ていたの?
ジュール:ちょっと用事があってね。
ルビィ:どうしてマリーヌと一緒にいるの?
マリーヌ:たまたま見つけただけです。捕らえてやろうとしたんですが服も場所も、いつもと勝手が違うので仕方なく見逃してやろうとしてたところです。ここの国では盗みをしないと言う約束で。
ルビィ:そっか。マリーヌも随分と心が広くなったんじゃない?
マリーヌ:そんなことはありません。さぁルビィ様。せっかくパーティーに来たんですから最後まで楽しんでいってください。会場に戻りますよ。
ジュール:だったら一緒に踊らないか?俺のお姫様。
マリーヌ:お前はルビィ様に近づくな。
ジュール:いいじゃんか、少しくらい。
ルビィ:ふふ。相変わらず仲良しよね。
(バベーナ魔法学校、ギムの部屋)
ポール:ギム!!!
ギム:おう、おかえり。どうだった?
ポール:ギム、お願いだ!!マトカリア王国の国王様たちにかけた呪いを解いてくれ!今すぐに!!!
ギム:作戦は失敗したのか?
ポール:マトカリアの騎士とよくわからない男に作戦がバレてしまった。
ギム:バレたのかこの下手くそ。本当にお前はポンコツ王子だな。
ポール:いいから早く解いてくれ。さもないとマリーヌは僕たちのことを公に話すって言っていた。
ポール:こんなことバレたらどうなるかわかったものじゃない!
ギム:わかったわかった。言ってもお遊び程度の黒魔術だ。簡単に解けるよ。
ポール:あぁ、お前のような優秀な魔法使いがいてくれて良かったよ。
ギム:(ギムが呪いを唱える)これで大丈夫だ。全く、やっぱりお前は面倒ごとしか持ってこないな。いい加減俺を巻き込むのはやめてくれ。
ポール:それにしてもあの男、一体なんだったんだ?
ギム:切り替えが早いな。というか俺の話を聞け。
ポール:ルビィ姫は俺のものだなんてほざいていた。ふざけるんじゃない!
ギム:あんな箱入りお姫様、いい加減諦めたらどうだ?お前には釣り合わないよ。
ポール:釣り合わないっていうんだったらあの男の方だろう!
ギム:どの男だ。俺は知らん。
ポール:あんなどこの馬の骨ともわからんやつよりはよっぽど僕の方がお似合いだろう!見てろよ。どこのどいつか知らないけど、
ポール:ルビィ姫は絶対僕のものにしてみせるからな!
ギム:もう勝手にやってくれ。俺はもう知らないからな。
ポール:そんなこと言わずに手伝ってくれよぉ。親友だろう?
ギム:勘弁してくれよ。お前、本当に懲りないな。
【シナリオ】箱入り姫と大泥棒と最強騎士 旦開野 @asaakeno73
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