2021/05/11 『指から唐揚げ』夜見ベルノさんによる二回目の読書実況(ありがとうございました!)

 以前、夜見ベルノさんという小説発掘VTuberさんに『指から唐揚げ』を読書実況していただきました。二月のことです。


こちらが、前回の記録(以前は近況ノートにしていたのですが、思うところあってエッセイとして残しておくことにしました)。

https://kakuyomu.jp/works/16816452220143472385/episodes/16816452220143635972


 ちゃんと唐揚げを食べたい気持ちがみなさんに届いたこと、また描写が丁寧など文章へのお褒めのお言葉をたくさんいただけたこと、主人公へのツッコミなど、とても楽しい読書実況でした。


 で、先日五月十一日に「積ん読崩し」ということで、二回目の読書実況をしていただけました。

 一回目のときには第六話まで。今回はその続きを読むという趣旨の動画です。


 実を言うと、続きとなる第七話以降は唐揚げや飯テロの要素少なめ、状況説明多めの回です。展開的には淡々と地味目なところですね。

 ですので、実況前には「みなさんはもっと唐揚げを期待しているのでは」などと思って少しはらはらしておりました。


 ですが、今回もみなさんに楽しそうに読んでいただけて、とても嬉しかったです。


【読書実況・積読崩し】 異世界転移で指から唐揚げが出るようになった俺が唐揚げを作って食べるまで 【夜見ベルノ / ミナボックス1期生】https://youtu.be/ZMNR2yQrVmk


 今回読んでいただけたのは、第七話から第十話まで。

 展開としては、主人公がようやく地元の人間と会ってこの世界のことを聞いたり、ようやく名乗ったり、それから「指から唐揚げを出す」という能力の代償について知る辺り。

 そのほとんどが、いわゆる「説明回」というやつです。


 説明回のさじ加減、難しいですよね。

 作中では主人公がメタ的に「説明回だるい」と言及していますが、わたし自身は実は世界設定──もっと言えば風習や文化といった民俗的な描写が大好物で、気付くとそういう設定が増えていったりします。

 なので毎回、書き過ぎないように、ストーリーに不要な部分は書かないように、それから主人公が興味を持たない知らないことは出さないように、気を遣うことになります。


 今回の中だと、例えば薬草師と呼ばれる人たちがどういう存在なのか、どうやってその知識が受け継がれ、またアップデートされてゆくのか、といった部分を考えるのが楽しいなと思う性質タチです。


 なのでいつも「書き過ぎてないかな」「説明回だるいって思われてないかな」って不安なんですね。主人公の「説明回だるい」は、わたしのそういう不安の投影です。


 ですけれど今回、森の民の服装や、マコトの暮らしている小屋の雰囲気、食事、あるいは出かける準備みたいな非常に細かい部分についても面白がっていただけたのがわかって、とても嬉しかったです。

 そういう細かい部分から、普段の生活の雰囲気が立ち上がってくると楽しいなって思うんですよね。なので、その辺りが伝わると、嬉しいです。本当にありがとうございます。


 それから、ブックマークしていただけたり、感想をいただけたり、あとは「もっと続いて欲しかった。そのくらい面白かった」と言っていただけて、本当にもう、すごくすごく嬉しいです。最後のらへんは嬉し過ぎて語彙力がダメになってて反応できなくなってましたが、すごく嬉しかったです。今も語彙力死んでますね、嬉しいしか言えてない。


 本当に、本当にありがとうございます!


作品はこちら。

『異世界転移で指から唐揚げが出るようになった俺が唐揚げを作って食べるまで』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897932535


ベルノさんのツイッターアカウントはこちら。

https://twitter.com/velno_yomi


 あ、今回の実況のあとで最後まで読み進めていただけたらしいです。

 ツイッターで読了した作品を一日一回紹介している「#夜見の本棚」タグで紹介していただきました。


『指から唐揚げ』の紹介ツイート

https://twitter.com/velno_yomi/status/1392522231335383044


 超おすすめと言っていただけてる! 嬉しい! ありがとうございます!






 さて。今回もその場で叫べなかったことを書いていきたいと思います。

 二回目なのと、設定に関する話題がいくつか出てきているので、それについての補足の分量が多いです。実況動画の感想というより、自作語りの分量の方が多くなってしまったので、本当に読まなくても大丈夫です。

 こう……何か叫んでるな、くらいの感じで遠目に手を振っていただけるくらいでじゅうぶんです。というか、わたしの文章読まなくても良いのでベルノさんの動画をご覧ください。


改めて、動画こちらです。

https://youtu.be/ZMNR2yQrVmk




■ 開始前


 楽しみにしてくださっている方がいらして、嬉しいです。

 また、第一回目の動画が、読書実況内で再生数三位(実況時点で)と聞いて、嬉しいやら恐れ多いやら……みなさんさては、唐揚げ好きですね……?

 自分の作品がそうやって楽しんでいただけたのが嬉しいです! ありがとうございます!




■ 第七話 まさかの日本人とかちょっと待ってくれ


 出だしから服の描写が長々と始まる回ですが、「くどくない」とコメントをいただけて安心しました。

 スマホの電池が四パーセント辺りの文章も、面白がっていただけたみたいでほっとしました。スマホ大事ですからね。何かあるとスマホの画面を見て時間を確認するのが癖になってるので、手元にないと落ち着かないんだと思います。


 座薬についてですが、当時のメモをひっくり返していたら、一応いつ頃から存在していたのかを調べていたみたいです、当時のわたしは。いや、これ、今回話題に出るまで忘れてたんですが、自分でも。

 あとは、作中で描写はしてないですが、女性が自分より体の大きい男性(意識がない)に座薬投与するとどんな体勢になるか、といったことも調べていた様子がありました。

 ちなみに、当時のメモは脈絡なく「唐揚げのレシピ」とか調理された鶏肉の写真とか、あとは料理動画とかが挟まってくるので、読み返すとひどい飯テロをくらいます。

 マコトは、実際に治療に当たる時は照れたりしてる場合じゃないので、容赦なくやっただろうなという気がしています。そういうところでは、プロ意識というか「薬草師なんだ」という意識の強い人だと思います。

 改めて顔を合わせて、それでなんだか急に意識してしまったという感じ、ですかね、きっと。


 ここで出てくるポタージュ的なスープは、マコトが主人公のために、煮た後の豆をわざわざ潰してます。裏ごしまではしていません。マコトが食べてるのは、潰す前の豆ですね。

 パンについては、食パンよりは固いけど、よく見かける「すごく固いあれ」ほどではないです。あと、水分をよく吸うのでスープにひたひたすると柔らかく食べやすくなる感じです。ちょっとこの辺りはどのくらいリアルにしようかなと悩んだところでもあります。

 メタ的な話をすると、ストーリー的に「食べ物が美味しくないから唐揚げを作る」という風にはしたくなかったので、「森の民はちゃんと満足できるくらいには美味しいものを食べてる」「食べ物に困っているわけではない」となるようにラインを決めていった感じです。

 なので、もしかすると食事に関しては、他の描写や設定と少し時代的なラインが違っているかもしれません。


 過去の転移者の娘の「マコト」、その母親の「ミノリ」。

 主人公は「真一」で、「マコト」と同じ意味の名前、というので彼女はすっかり主人公が母親と同郷だと確信しました。

 珍しい髪の色なので、拾ったときから多分そうだろうと思ってはいたんですが、名前のことを聞いてもうすっかりその気になった感じです。


 そして、転移者がもう帰れない可能性に思い至っている方がいらして、そこまで考えていただけてるなって嬉しくなりました。

 二十歳の子供がいるってことは、それ以上ここで暮らしているってことですからね。


 会社での呼ばれ方のところはリアルタイムにコメントもしたのですが、七話目でようやく主人公の名前が出てきたので、名前が「シンイチ」ですよって覚えてもらいたいという意図のおまけです。

 いくつかのバリエーションがあるのですが、まず「シンイチ」から高校生探偵を連想した人が「工藤くん」て呼び始めて本人は「やめてください」と言いつつも、一応返事はしてあげてたんですね。

 そのあと、何かのミーティング中、誰かが空気を和ませる意図で主人公の発言に対して「せやかて工藤」って言ったところ、それが面白がられて一部で定着してしまった、という感じです。

 そして「せやかて」「やめてください」のやりとりがある種のネタというか、そういう遊びのようになっている感じです。たまに、新しく入社してきた人が本気で「セヤカテさんって珍しい名字ですよね、どういう漢字なんですか?」とか聞いてくることがある。という無駄設定があります。


 ここのところのやりとり、ベルノさんに音読していただけたの、面白かったです! 嬉しい!

 パッと声が切り替わるのさすがです……! すごい!




■ 第八話 今まで説明回とかだるいって思ってたことを反省した


 主人公、微妙にメタい……確かにそうですね。

 これはある種の「これ知ってますよ、よくあるアレでしょ」というスレた態度なんですよね。一回目の実況時、森歩きで「意外と冷静」とのコメントをいただきましたが、そういう部分と紙一重というか裏表なんだと思っています。

 この辺り、先の展開にも関わってくるのでぼんやりとだけ話をすると、そもそも森を歩き慣れてない、長時間歩けない(すぐ疲れる)、スマホが手元にあると落ち着く、そういうスレた態度、などなどがこの主人公の特徴ではあります。


 まああとは、作者的な都合としては「これから説明回ですよ? 説明回ですからね? 良いですね、説明回って言いましたからね? 主人公だって説明は必要って納得してますからね?」という念押しです。特に『指から唐揚げ』のときは、ウェブ小説を書くこと自体が初めてだったので「つまらないって思われるんじゃないか」という不安がつきまとっていて、それでこんなメタいことを言わせてしまった、という勝手な事情でもあります。


 マコトの年齢は確かに二十歳なので、主人公に比べたら若いのですが、成人が十六で一人前とされてから四年自活しています。社会人(ではないけど、現代日本的に言うなら)経験としては四年あるんですよね。

 一方でシンイチは二十八ではありますが、大学を卒業してから働き始めて……と考えると六年くらいでしょうか。「自分で働いて自分で生活する」という観点でいうと、実はそれほど変わりがないのです。

 なんなら、十二から親元を離れて修行していたマコトの方がキャリア(?)は長いかもしれません。

 それでも、主人公のシンイチから見たら二十歳は二十歳。「今年入った新卒入社の子達より年下なのか」という気分でいると思います。


 マコトは見た目は日本人好みの可愛らしい雰囲気をイメージしていました。なので「アイドルとかできそうな感じ」は、まさにその通りです。(実は描写する時、橋本環奈さんの写真を参考に見ておりました)(正確には、マコトの母親がそういう系統の顔立ちで、マコトはそれに似ていると設定していました)

 森の民の中では子供扱いもそうですが、黒髪で集落ではちょっと浮いていることもあって、特にモテたりとかはしません。この辺りは本編に書いてない設定なのですが、薬草師は集落に家を持たないので(森の民が考えるような)婚姻ができません。なので、そもそもそういう対象にもなっていなかったりします。

 マコトはある意味、主人公特攻を持った存在だと思います。見知らぬ異世界で、主人公を優しく看病してお世話をしてくれて、さらには主人公の感覚で「可愛い」と思える姿。(と言いつつ、このお話は恋愛をテーマにしていないので、この先にそういう展開を期待されると肩透かしを喰らわせてしまうかと思います、ご了承ください)


 父親との関係については、この先ご両親の登場をお待ちください。


 おまけの文章については、小説家になろうに投稿していたときは「後書き」部分に書いていたものでした。カクヨムでは後書きがないからどうしようかな、と悩んだのですが、この部分も作品の一部だなと思ったのでこういった形で挿入しています。

 どうにもわたしは、こういった「本編と切り離されているけど、なんとなく世界が垣間見える設定」が好きで、特に「その世界の中にある形で書かれている」ものがとてもとても好きです。

 お話の最初にある地図だとか、用語集だとか、そういうものを眺めるのが好きなんですよね。

 なので、自分でもつい書いてしまいます。今書いている『旅をする』では、章ごとに一話使ってこういう設定語りを入れる形式をとっています。その世界の中の誰かが、その世界の他の誰かに向けて、その登場地域を紹介することに一話まるまる使っています。

 先日『旅をする』を読んでくださってる方から「大河ドラマの紀行のコーナーみたい」というお言葉をいただいたのですが、確かにそんな感じかもしれません。

 あと、これを書きながら思い出したのですが『ワールド・ネバーランド』というゲームのシリーズがありまして、架空の国で仕事したり体を鍛えたり人付き合いしたり結婚して子供産んだりするゲームなのですが、このゲームの中で、その世界の中の人が書いたりまとめたりしたという神話だとか博物図鑑だとか旅行記が読めるんですよね。あれがすごく好きなんです。

 おまけ要素なので読まなくても支障はないんですが、読んでるとにやにやしてしまいます。

 あんな感じのものが好きなんだな、と思いました。


 さて、このおまけのコーナーで「エルフっぽい」「まつろわぬ者」という言葉が出てきましたが、本当にそういうイメージで考えてました。

 エルフというとどうしてもいろんな創作物のイメージに引っ張られ、ウェブ小説だと「エルフ」という単語で何か説明できてしまうような、でも実態がわからないような。そういうイメージに引っ張られないように生み出したのが「森の民」という言葉です。

 彼らは確かに「まつろわぬ者」でもあります。独自の文化を築いて生活しているという意味でですね。かなり土着的なイメージで生活を想像して書きました。

 こういった土着的だったり民俗的なものが好きなので、この言葉が出てきたのは嬉しいです、ありがとうございます。




■ 第九話 俺はどうやら唐揚げ出しすぎると死ぬらしい


 前回の実況でも「このチート能力の対価は何か」「制約は」と話題になっていましたが、その対価の話です。

 この辺りも主人公シンイチの態度はメタ的ですね。「魔法なんてお話の中のもの」という、よくある言い回しのあのセリフです。魔法のある世界に行ったら、つい言ってしまうセリフをランキングしたら五本の指に入るのではないでしょうか(個人の感想です)。


「あんたそもそも唐揚げ食べるために材料買いに行って死んでるやんけ」


 ツッコミありがとうございます。唐揚げで死んで唐揚げで死にかけた主人公です。唐揚げ大好きか。好きだけど。唐揚げ大好きだけど。

 その後の主人公の語りも、軽やかに音読ありがとうございます! ここ嬉しい!

 いや、割と主人公混乱してるしショック受けてるんですよね。唐揚げ食べたいのを我慢してるという状況のせいで悲壮感が薄く見えがちですが。

 真面目なのかなんなのかわからない状況ですが、シンイチは真面目なはずです。


 コメントの夕ご飯報告。カレーにウィンナーとスクランブルエッグトッピング良いですね! 卵はカレーに合うと思います。

 それから「わたしもこの能力欲しい」わかります! わたしも指から唐揚げ出て欲しいです! 指から唐揚げ出て欲しくてこのお話を書きました!

 ベルノさんのツッコミ通り、シンイチは指から唐揚げ出しすぎて死にかけましたが……。


 マコトの描写「唇がふんわりとほころんだ」、褒めていただけた。ありがとうございます! マコトは全力で可愛く感じられるように書いてます。

 そのあたりの可愛さも、主人公シンイチの一人称なので、全てシンイチの主観なんですよね、実は。


 軟膏のシーンは、マコトのお仕事の描写でもあるし、シンイチの認識ではほとんど初めてのマコトとの直接的な触れ合いでもありますね。寝込んでる間は記憶が曖昧なのでノーカウントです。

 この辺りも丁寧と言っていただけて、軟膏の扱いに慣れてる感が出ていたみたいで嬉しいです。マコトの普段の仕事振りを想像してもらえたら良いなと思って書いてました。後、ついでに、人の指が足に触れる感触なんかも想像していただけるとより良いと思います。


 八歳下は勝ち組なるほど。とはいえ、森の民は成人年齢が現代日本と違うこととかを考えると、この場合の年齢差はシンイチの認識ひとつって感じもしますね。

 マコトからはシンイチは年齢不詳に見ているので、八歳差だとまでは意識されていないような気がします(まあ、恋愛感情的なものが芽生えるかどうかは別の話ですが……そもそも森の民は恋愛というものをどう考えているか、から紐解く必要が出てきそう)。


 マコトを可愛いと言っていただけて嬉しいです!

 あと、この辺りのシンイチの「気づかないようにしていた」「わからないようにしておきたい」から、シンイチの心情を読み取っていただけてるのも嬉しいです。

 さっきも書いた通り、シンイチの認識ひとつなんですけれどね。わけもわからずに助けてくれた人に対していきなりそういうのは「良くない」と思ってるんです、多分。年齢のことももちろん気にはしてます。「だって学生みたいなものだろ」的な。


 おまけ部分は「生きる力」のお話でした。世界の広がりを感じていただけて嬉しいです。

 薬草師の語り、「とある」としか書かなかったのですが「ベテラン」と言っていただけたのも嬉しい。見習いから「師匠」と呼ばれる立場の人の語りなので、そう思ってもらえたなら成功な気がします。きっと、目の前にその見習いがいて、その見習いの子に対して語っている状況ですね。

 そのことで、説得力が増しているというのも嬉しいです。

 ツイッターでベルノさんから反応をいただけて、その返信を書いている時に思ったのですが、この「作中世界の語り手→作中世界の読者・聞き手」というフィルターを通すことで、現実世界の読者は作中世界の読者・聞き手とリンクするので説得力が生まれるのかもしれません。さらに、現実世界の読者の自分と作中世界の読者の視点とのギャップを、その世界の奥行きや広さとして感じているような気もしました。

 先日、ベルノさんの「夜見の書架貸します」で語られていた「世界の奥深さ」のお話を思い出しました。


【テーマトーク】 奥深さに関する一考察・第二回 【ゲスト: 中村尚裕 さん】

https://youtu.be/eSFTQDxdhik


 この回だったかな。

 このシリーズ、面白くて勉強になるので気になった方はぜひ。




■ 第十話 出かける準備には時間がかかる


 唐揚げ食べたくなったは本当に嬉しいです。唐揚げ食べたいという念を込めて書いたので、本当に嬉しい褒め言葉です。

 触覚描写のお褒めもありがとうございます。一人称は五感と感情の描写をフルに活用できるのがやっぱり強いし楽しいなと思ってます。単なる向き不向きの話だと思うんですけれど、自分が書きやすいのは一人称だなと思うことは多いです。

 逆に言うと、三人称は登場人物の感覚との距離感が難しいんですよね。修行が足りない気がします。


 ポテチは薄いからカロリーゼロだし、ドーナツは穴が空いてるからカロリーゼロです。鶏の唐揚げもヘルシーな鶏肉なので実質カロリーゼロですね!


 食べられなかった、作るはずだった唐揚げ。飲めなかった地ビール。遊んでたゲームも、見てなかったアニメも、読みかけの漫画や小説も、全部主人公にとっては自分が生きていた現代日本の日常のものなんですよね。散らかった部屋も。

 そして、超長期連載ものは本当に……つらいですね……。そのまま未完になってしまったものもありますし、今も続きはあるけど次がいつになるかわからないものもありますし、かと思えば突然完結巻が発売される小説もありましたし。


 最後まで読んで「もっと続いて欲しかった」「そのくらい面白かった」とコメントいただけて、ここもう、言葉もなく悶えてました。嬉しいです。

 シンイチの話は完結してしまっているので、もうこれ以上は何を書いても蛇足かなという気がしてるんですよね。でも、この世界の、森の民たちの暮らしを書くのは面白いかもなあ、なんて思うこともあります。冬支度する集落とか、彷徨う者を迎えてお祭りのようになる集落とか、シンイチが徐々に集落の人に受け入れられる話とか、あるいは森の民の婚姻の祭りについてとか。

 マコトはきっといずれ、この集落を出て旅をする薬草師になるだろうし、その時にシンイチがどうするのか、というのも考えてみたら面白いかもしれません。まあ、それも何年後かという話ですけれども。


 テーブルの半分、いろいろやってると埋まっちゃうと思うんですよ。向こう半分が作業台で、こちら半分が日常のことに使ってる感じだと思います。

 この「こちら半分」は、自分では意識していなかった言葉です。ふと口をついて出てきたような。それが、思いがけず効果があった感じです。この言葉一つで語り手がこちらに立っていて、そこから向こうを見ている、という景色が立ち上がってくるというのは、面白いですね。

 この先、森の民特有の言い回しがいくつか登場するのですが、そのほとんどは、今回みたいに「ふと口をついて」出てきた言葉だったりします。書いてたらふと登場して、読み返してはたと「そうか、そうだね、君たちはこういう言い方するだろうね」と気付くようなことが、何回かありました。

 先の展開なのですが、例をあげると「一つ木に暮らす」「頭に鳥の羽が詰まってそう」あたりは、そんな感じでふと出てきた言葉です。

 まるで本当に、自分が森の民の生活を覗き見たような気持ちになって、お話を書くというのは面白いなと思いました。


 カミソリと鏡は出すかどうか迷って、でもヒゲを無視はできないなあと思って出しました。細かいことを言うと、トイレとお風呂については言及を避けたんですよね。どうしてもごちゃつくし、大真面目に考えるとそれだけでかなりの描写が必要になってしまう。かといって、ストーリーの本筋にはそこまで関わらない。

 けれど、髭については、この後に登場するマコトの父親にヒゲがあるのか、ないのか、みたいなことを考えて、どうしても誤魔化すことができなかったのです。こっちももしかしたら、言及を避けてスルーしても良かったのかもしれないのですけれども……この辺りのバランスは毎度なかなか難しいですね。

 カミソリと鏡も、一応地球での歴史を調べて、このくらいならギリギリありということにしよう、というラインで出すことにしました。鏡がぼんやりしてるのは、コメントでも話題になっていましたが、金属を磨いたやつだからです(シンイチの知識とか諸々の事情でそこまで書けなかった)。


 で、くるぶし。足首ですね。シンイチが足萌えかどうかは考えていませんでした。でも言われてみたら確かにやたらと足について言及してますね。

 まあ、足からの感覚に敏感な人なので、きっと人の足にも敏感なんでしょう……(何か設定が生えてしまった)。

 森の民は森を歩くときはあまり素肌を晒さないので(虫とかいるし、枝や葉っぱで細かい傷ができるから)、森の民(つまりそこで育ったマコト)にとっては素肌というのはそれだけでなかなか刺激的なものであるような気はします。


 で、子供っぽく拗ねたりはしゃいだりしていたマコトが、急にお姉さんみたいになるところ。シンイチは現代日本なら一人で生活できるけど、森の民の生活となると急にできなくなるんです。子供でもできることが、できないんです、いい大人なのに。

 マコトは見た目も仕草も子供っぽく見られがちだけど、一人で森で生活しているので、メンタルは強いし生活力もめちゃくちゃある人なんですよね。


 この辺りの出かける準備の描写、我ながら地味だなあと思っていたので、面白がっていただけるのとても嬉しいです。こういう細かい部分、普段の生活が垣間見えるような部分が好きなんです。

 虫除けは、ちらりとコメントをいただきましたが、植物由来のものです。

 手袋を重ねて付ける時用の、その一言が入っている理由はですね。マコトが普段つけてる手袋だと、シンイチの手には入らないんですよ。木靴と同じで。それでマコトが「重ね付けに使う大きいやつなら大丈夫かも」って出してきたのが、これなんです。文字数の関係でその辺りはバッサリ省いてますけど。

 そして足フェチ認定されてしまいました。ここから皆さんのフェティシズムがコメント欄で垣間見えたの面白かったです。手首も足首もフェティッシュだと思います。

 隠れているものを垣間見るというのも、大変なフェティシズムだと思います。

 江戸時代の絵踏み、女の人が足を出すから人気という知識も得ることができました。面白かったです。

 肋骨もなかなかフェティッシュではあるのですが、スペアリブは残念ながら豚肉なので、たとえ唐揚げでも鶏の唐揚げしか出せないシンイチは出せません(マジレス)。


 それから唐揚げ系VTuberの存在に驚きました。世界は広いですね。(唐揚げくん相当に大手では……?)


 薬草師という人たちの役割というか生き方というか、「専門職」感、出てるなら嬉しいです。




 実況動画を見返しながら書いていたら、めちゃくちゃとりとめなくなってしまいました。

 飯テロも唐揚げも少なめの部分でしたが、皆さんにワイワイと楽しんでいただけて、本当に嬉しいです。

 自分の中では食事も生活も近い部分にあるし、こういうものが書きたいなと思って書いたものだったので、こうやって面白がっていただけるのは本当に幸せです。


 ありがとうございます。




では改めて。

作品はこちら。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897932535


今回の第七話からの実況動画はこちら。

https://youtu.be/ZMNR2yQrVmk


前回の第六話までの実況動画はこちら。

https://youtu.be/YJIszPX31Eo


ベルノさんのツイッターアカウントはこちら。

https://twitter.com/velno_yomi


ベルノさんによる紹介ツイートこちら。

https://twitter.com/velno_yomi/status/1392522231335383044


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