ピーター・モリソン


 月に箒星ほうきぼしが当った。少し前のことだ。月でよかったと、落ちなくてよかったと、人々は口々に言った。しかし安堵するのもつかの間、妙なことが起こり始めた。月に溝が入ったのだ。溝は縦に入り、また入り、横にも入った。まるで卵割らんかつのように続いていった。

 月は欠け、再び満ちていく。

 僕は窓辺に座り、月を見上げている。月は育っていた。墨色の眼と、橙色の内臓が透け、紅玉ルビー色の血管が脈動している。

 満月はもうすぐだった。

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ピーター・モリソン @peter_morrison

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