1章8話『白銀寮の神那』
4月4日 朝食後 ボロ寮の裏庭にて
3人での生活は、魔法学校にいた時と同様に極めて安定していた。幸い、退治した蛇の魔獣の鱗は小銭にはなるようで、出くわした魔獣を倒し、町と寮をつなぐ無結界地帯で魔獣を狩れば学校が始まるまでの間の食費の問題はどうにかなった。
これが、2人の言っていた最低限の生活だろうか。これなら、別に魔法使いでなくてもできると思うけどさ。
朝食の後、3人で稽古をしていた時、一応、魔獣用に設置した赤外線センサーが踏み越されたらしく、寮内から警報の光があふれた。魔獣は野生動物のように周辺の森の中に潜んでおり、数日に一度はこのセンサーは役に立っている。
どうして購入したかと言えば、結界石の有効範囲に寮の庭一帯までは含まれていなかったからだ。
あずさ「そうね。」
あずさ「さぁ。匂うんじゃない?」
あずさ「人間の。」
あら、そうですか。蛇って鼻がいいんですかね。
ところが、3人で裏庭の訓練場から結界が踏み越された表に駆け付けたものの、何も発見できなかった。
その可能性は低いと思うけど。
声「あら、思ったよりかわいらしい寮ね。ここ。」
後ろから声がしたので驚いて振り返ると、玄関が開いていて、一人の女子がいた。年齢は、
少女「あれ、知らないの?というか、“泥棒か”って、泥棒にみえる?私。」
少女「ここは、あなたたちの住居じゃなくて、アミテロス魔法学校からラルタロス魔法学校に移籍した学生の所属する寮でしょう?」
確かに。
あずさ「で、あなたは。」
あずさは、いざとなったら腰にさしたナイフをすぐさま抜ける体勢だ。
あずさ「あたしの名前知っているのね。」
あずさ「伝達帳に通知は無かったわ。」
色々文句をつけたかったが、今気にすべきは、問題は
そういうと、
どうやら、この謎の女子は敵ではないようだ。
ふぅーひと安心。けど、いつも3人トリオだったのにちょっと調子狂いそうだな。
あずさ「よろしく
警戒を解いてそう言うと、あずさは
“嬉しい”とは言ったあずさであったが、実際は、
何となく上から目線なのが気に食わなかったが、一応「
とは返した。
すると、
昼食は4人でとることになった。そして、今日の料理当番は
食卓を挟んで男子と女子がそれぞれ向かい合って座り、
あずさ「相変わらず、シダシダしているね。
前部時代は、“アミテロス魔法学校にシダ植物を広める会”の会長をしていただけのことはあり、当時から作る料理もシダ植物を使ったものに
“まァ”といのが非常に気になるが、褒められたことにして、少し照れたそぶりを見せた。すかさずあずさがせせら笑った。
どうやら、
あずさ「久しぶりに、
あずさも毒キノコでも食べたんじゃないだろうか。いや、入れてないけど。毒と言えば・・・。
そして
「珍しいのはあずさの魔法もだろ。」と言おうとしたら、あずさに威圧眼を向けられたので引き下がった。嫌な役回りはボーイズファーストなのは不愉快な慣習だ。
ちなみに、本当にあずさの魔法は珍しく、相手の感覚器を操作できる。視界を消したり、嗅覚を消したり・・・色々と一時的に消したり狂わせたりできる。
ずいぶん、生きにくそうだなぁ。魔法を管理する必要があったということか・・・・・。どんな魔法だよ。
そして、
どうやらあずさには、完全に毒をもられたらしい。
嫌な予感しかしないなぁ。
いつも、訓練場として使っている裏庭を試合場として使うことにして、4人でそこへ移った。
アミテロスの魔獣狩り~植物魔法の深淵、蔭《かげ》の世界の旅~ @yasida
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