第16話 新しい仲間
3人からパーティー申請を受けた翌日アストルムの東門にて。
元々今日はリョウとサラと魔物討伐に行く予定があったため、アイリちゃん、ノエルン、エリカをパーティーに入れていいか2人に聞くつもりだった。
「何だよ今日は大切な話があるって?」
「ふふ⋯⋯私は何か想像できるけどね」
そうか⋯⋯サラは一昨日ノエルンと会っているからその時にパーティー申請のことを聞いているのだろう。
「実は新しくパーティーに入れたい人がいるんだ」
「やっぱりね」
「俺は反対だ」
リョウが即答で反対意見を出してくる。
「何? リョウは反対なの?」
「ああ⋯⋯このパーティーに新戦力を入れるならどんな人材がいいか、すでに俺は決めているからな」
普段バカなことしか言わないリョウがそこまでパーティーのことを考えていたとは。少し見直したぞ。
「ちなみにどんな子ならいいのよ」
サラがリョウにパーティーメンバーについて問いかける。
「俺のハーレム要員だ」
リョウが言葉を発した瞬間、俺とサラの拳がリョウの顔面に放たれる。
「ぐはっ!」
しかしリョウは俺達の攻撃を受けても倒れることはなく、その場に踏みとどまる。
さすがはVITにステータスを振っていることはある。
「な、何すんだよ!」
「さっ⋯⋯バカはほっといて私達で新しいメンバーを入れるか考えましょ」
全くもってサラの言うとおり。少しでもリョウを見直した俺がバカだった。
「実はもうそこまで来ているんだ」
俺は新しくフレンド登録をした3人にメールを送る。するとアイリちゃん達は東門の陰から魔物討伐用の装備で俺達の前に現れる。
「えっ? 何? この娘達が新しいメンバー?」
リョウは3人の姿を見て驚いている。
「ア、アイリちゃん? それにエリカも⁉️」
サラもリョウと同じ様にアイリちゃん達を見て驚愕している。
「何でサラまで驚いているんだよ。お前さっきパーティーの話しをした時にやっぱりねって言ってなかったか?」
「私はノエルだけだと思ってたのよ! あんたいつからこんな甲斐性を持つ男になったの」
そんなの知らん。
「サラは3人が俺達のパーティーに入ることはどう思う?」
「私は元々反対じゃないからオッケーよ」
サラの賛成意見を聞いてアイリちゃん達は安堵する。
後はリョウが承諾してくれれば。
「アイリちゃん、ノエルン、エリカごめんなさい。1人、貴女達を仲間に入れることに反対している奴がいるのよ」
さっきは冗談で俺とサラがパーティーのメンバーを決めると言ったが、リョウと合わない人を仲間に入れて戦闘の連携が乱れるのは勘弁してほしい。
もしリョウが反対するなら3人をパーティーに入れることはやめよう。
「そうですか⋯⋯」
「トウヤっち達と天の島を目指したかったのに」
「理由を教えて下さい」
アイリちゃん達はサラの言葉を聞いて肩をガックリと落としている。
「ひどいぞトウヤ!」
リョウは何を血迷ったのか俺が3人のパーティー入りを反対したかのように言ってきた。
「いや、自分で反対意見を出しておいてしれっとそっちにつくのやめてくんない」
「だってありえないだろ! 何なのこのSSR級の美少女達は! 1人でも奇跡なのにどんだけリセラマしたんだよ!」
まあその気持ちはわかる。3人とも文句無しの美少女だからな。
「そんな⋯⋯私なんて⋯⋯」
「えへへ⋯⋯私のこと美少女だって」
「何なんですかこの変な人は?」
何かリョウのことを紹介するのが恥ずかしくなってきた。
「俺はリョウ! パーティーの盾役をしています!」
リョウは俺が説明する前に、意気揚々と3人の前に出て自己紹介を始める。
「俺が3人のことを護るから安心してくれ!」
しかしアイリちゃん達はリョウの勢いの良さに若干引いている。
「ねえリョウ? ちなみに私は何級のカードなの?」
「サラか⋯⋯サラはチュートリアルでもらえるSRカードだな」
無課金では最初使えるけどガチャをするとすぐにいらなくなるやつだ。
「見た目はいいけど中身がな⋯⋯」
「あ? 私にケンカ売ってんの?」
サラはリョウの言葉に笑顔で接するが目が笑っていない。
「そうだぞリョウ! サラはSRじゃない! SSR級だ」
「トウヤ⋯⋯やっぱあんたはわかってるいるわね」
「だかSSRでも評価10点満点中5点のクソカードだぞ」
「あ、あんた達!」
ひぃっ! サラが追いかけて来た!
俺とリョウは逃げるがあっさりとサラに捕まってしまい頭を殴られる。
「アイリさん、ノエルさん⋯⋯私達はいつまでこの漫才を見ないといけないの?」
「中々愉快なパーティーだね」
「そ、そうですね」
3人は俺とリョウがサラにボロボロにされる所を苦笑いしながら眺めていた。
そしてサラに折檻された3分後、ようやく3人の自己紹介が始まる。
「アイリです。お兄さんの親戚で一緒に住んでます!」
「き、貴様の血は何色だあぁぁ!」
リョウが突然涙を流しながら殴りかかってくるが、俺は右手でその攻撃を受け止める。
「何するんだ!」
「可愛い妹系の女の子と一緒に住んでる⋯⋯だと⋯⋯。お前のことだから朝起こしてもらったり、膝枕をしてもらったり、あまつさえ行ってらっしゃいのキスを強要しているんだろ!」
俺とアイリちゃんはリョウの言葉を聞いて顔を反らす。
こいつ⋯⋯どこかで見ていたのか? それともサラから聞いたのか。
「その反応⋯⋯えっ? マジで? お前は毎朝キスをしてもらってるのか!」
リョウが再度右手で殴りかかってきたので、拳を掴み攻撃を防ぐ。
「キ、キスはまだしていません! 朝起こして膝枕をしただけです」
俺はアイリちゃんの言葉に頭が痛くなる。
ここで言っちゃだめでしょ。しかもキスはまだって! いつかして良いってこと⁉️
「トウヤっちはアイリっちにそんなことさせてるんだ」
「家に住ませてやる代わりにってことですか⋯⋯この変態」
ノエルンとエリカが蔑んだ目で俺を見てくる。
「ち、違うんだ! これはその⋯⋯」
「違うんですか?」
アイリちゃん⋯⋯そんな可愛く懇願するように聞かれたら改めて違うとは言いづらいじゃないか。
「とりあえず1発殴らせろ」
リョウが空いている左手の拳を振り上げてきた。
甘い。
俺も左手でリョウの拳を掴むと力比べの体勢になった。
俺はリョウの両手を払おうとするが動かない。
「なん⋯⋯だと⋯⋯」
何故だ! STRは俺の方が上のはずだ。負けることなどありえない!
「俺のシスコンパワーを甘くみたな。お前を始末して代わりに俺がアイリちゃんのお兄さんになってやろう」
そんな変態パワーに負けるなど納得行かないが、リョウのこの力は侮れない。
しかし2人の力比べは唐突に終わりをつげた。
「あんた達何バカなことをしてるの⁉️」
「「いてっ!」」
俺とリョウはサラに頭を殴られる。
「ほら3人ともあんた達のことを見て引いてるわよ!」
俺はサラの言葉を聞いて、アイリちゃん達に視線を向ける。
「エリッち⋯⋯入るパーティー間違えたかな」
「そうですね⋯⋯少なくても男2人は油断ならない変態だと言うことがわかりました」
ノエルンとエリカから辛辣な言葉を言われ、アイリちゃんは苦笑いをしている。
「コホン⋯⋯それでアイリさんはどういうことが得意なのかな?」
リョウはこのままだと3人に嫌われてしまうと感じ取ったのか真面目な質問する。
「ステータスオープン」
アイリちゃんが言葉を発すると立体的な画像が浮かび上がり、俺達の目にもステータスが見れるようになる。
基本システムの画像は自分にしか見えないが「ステータスオープン」と言えば、他者も見れるようになる。
レベル10
HP=182
MP=254
STR=35
AGi=52
VIT=134
DEX=152
INT=222
LUK=133
魔法よりの能力だな。
「INTとVIT以外はスキルポイントを割り振ってません。魔法は回復、補助系がメインになります」
それでDEXが152もあるの⁉️ ひょっとしてだから料理も上手いのかな。
ステータスはレベルが上がるかスキルポイントを振ることで上昇する。
レベルが上がってステータスが増えるということは元々先天的に才能があるということだ。
「レベルは低いけど良いステータスね」
「うちのパーティーは皆前衛だからな」
サラとリョウの言うとおり、うちのパーティーにはいないタイプなので嬉しい人材だ。
「次は私ね。ステータスオープン」
ノエルンが言葉を発すると立体的な画像が浮かび上がる。
レベル11
HP=145
MP=122
STR=50
AGI=182
VIT=100
DEX=252
INT=121
LUK=35
DEXが高くSTRが低いな。もしかしたら武器は弓とか遠距離系の物かな?
「私はDEXに一点集中で割り振っているよ」
AGIが高いからもし後衛職だとしても簡単にやられないだろう。
「武器は弓を使ってるけどけっこう命中率がいいよ」
予想通りDEXが高いからノエルンの武器は弓だった。
「これまたうちにはいないタイプね」
「弓って所が良いぜ」
「最後は私ですね。ステータスオープン」
エリカが言葉を発するとアイリちゃんやノエルンの時と同じ様に立体的な画像が浮かび上がる。
レベル12
HP=89
MP=342
STR=21
AGI=253
VIT=32
DEX=20
INT=301
LUK=52
AGIとINTの特化型の能力だな。
「かわして素早く魔法を打つをコンセプトにしました」
うん⋯⋯確かに悪くないがエリカは他のステータスが低すぎないか?
VITも低いし、これって一発食らったら死ぬんじゃ⋯⋯。
「俺はこういう極振り嫌いじゃないぜ」
「さすがエリカね。個性のないキャラは生きる価値がないってわかってる」
まあ俺もこういう一芸に秀でたのって好きだけどね。
「魔法は主に攻撃系のもので雷や火が得意です」
攻撃系の魔法が得意なやつはパーティーには誰もいない。回復魔法のアイリちゃん、遠距離攻撃のノエルン、攻撃魔法のエリカ⋯⋯3人が3人共俺達のパーティーに足りていないピースだ。パーティーの人数も倍になったし、上手く連携が取れればかなりの戦力アップになるだろう。
「それじゃあ次は俺の番だな⋯⋯ステータスオープン」
レベル22
HP=352
MP=231
STR=321
AGI=252
VIT=132
DEX=111
INT=212
LUK=32
「お兄さんのステータス凄いです」
「オークを一撃で倒しただけはあるね」
「先輩本当に強かったんだ」
そう素直に褒められると何だか照れるな。
「剣のスキルと回復、攻撃魔法を少し使えるぞ」
そして次は私とばかりにサラが前に出る。
「ステータスオープン」
レベル20
HP=132
MP=122
STR=151
AGI=459
VIT=104
DEX=201
INT=52
LUK=158
AGI特化型。しかSTRとVITは多少スキルポイントを振っているが、DEXとLUKはレベルが上がっただけでこの能力なんだよな。
確かにサラは昔から器用だし、運も良いほうだ。
ステータスポイントが全てではないけどサラは俺の5倍運が良いってことに何だか納得いかない。
「素早く動いてレイピアの手数で圧倒する。それが私の戦い方よ」
「さすがサラ先輩! 素敵なステータスです!」
薄々思っていたが、エリカって何かサラを見る目に尊敬の念を抱いてるよな。ステータスの振り方も武器を使うか使わないかの違いはあるけど似てるし。
願わくば、エリカはサラのように中身まで真似しないでほしいものだ。
そして次にみんなの視線が自然とリョウへと注がれる。
「真打ちの登場か⋯⋯刮目せよ! これが俺の⋯⋯」
しかしリョウはその続きの言葉を発することはなかった。
「まあミステリアスな男はモテるって言うしな。俺の能力は秘密で」
「何ですかそれ」
「少なくとも私は魅力的に感じませんね」
エリカの厳しい意見がリョウの胸に突き刺さり、その様子を見て俺とサラは複雑な表情で見ている。
リョウのステータスは
こうして俺とサラとリョウのパーティーに新しくアイリちゃん、ノエルン、エリカが加わることとなった。
限界を超えた時に真の力が発揮する~願いが叶う宝玉を手に入れて俺は~ マーラッシュ【書籍化作品あり】 @04020710
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