第13話 まりえプランの終焉

それから暫くしてまりえプロジェクトの停止が決まった、オヤジが手を回したに違いないが、流石にどういう手を使ったのかわからなかった。興味本位であちらこちらにリサーチをかけたら。謀略の専門家問うことで、日本政府を説得した。日本政府にとって課題は莫大な予算だ、それもこれから永遠にかかる、放置すれば現政権の汚点となるみたいなことを言われたらしいい。そしてこの後のことはアメリカ政府が監視するので御安心をみたいな話のもって行方だった。もともと内心ではやめたいと思っていたところに、辞める理由と、後始末までしてあげると言うことで閣議で決まった。阿部まりえは日本人であり、まりえプランは確実に日本初なのにそんな簡単に手放して良いのか。無責任もここまでくると笑ってしまうくらいだ。

野神慎也は閣議に呼ばれなかった。おそらく呼べばめんどくさいことにまるとお思ったのだろう。まりえプロジェクトの解消にはは膨大な労力が伴う。閣議には呼ばれなかったが、総務大臣には呼ばれた。総務大臣は重々しく口を開いた。

「まあ君も言いたいことはたくさんあると思うが、これは閣議でというより高度な外交的な駆け引きが伴う案件になってしまった。まあ君の情報網ではおそらく私より詳しいことがわかっているとは思うが。解消の段取りは君はしなくて良い。手塩にかけたプロジェクトを自ら手で無くすのも忍びないだろうしな」

「いえ別にそれは」

「でも頼みたことが有る。」

「何ですか」

「制度的になかったことにはできる。あとはみんなの記憶の中だ。誰の記憶にも残らないような操作をして欲しい」

「いえ大臣。一般人ならともかく興味を持つているのは各国政府ですよ」

「まあ出来るだけで良いから」

「いや。阿部まりえの護衛は」

「もちろん解消だ」

「いや危険すぎます。何年もかけて少しづつ解消させないと」

「そこはアメリカが責任を持つと言っている」


話にならないというのはこの事だ。野神慎也としてはどうすることも出来ないとりあえず最後の仕事でセブンガールズの解散を言い渡さなければならない。でも細心の注意が必要だ。いきなり仲の良い友人がいなくなったらあまりにもかわいそうだ。そもそも阿部まりえにはセブンガールズ以外の友達は作らせないような操作をしてきた。今セブンガールズがいなくなれば阿部まりえに友達と呼べる者はいない。


セブンガールズが一度にあつめられた。みんな本部のただならぬ状況に驚いているように感じた。さまざまなものがかたずけられている。あと半月もすればここはもぬけのカラになる。その雰囲気にみんな緊張した面持ちになっている。

「えー今日は君たちに伝えなければならない事がある」

野神慎也は重々しく話始めた。

「来月いっぱいをもって、まりえプロジェクトは解散になる、君達も全員任を解かれる」誰も口を開かない。

「ショックなのは分かるが。これも政府の決定だ」

「それは好きにして良い問いことですか」筆頭の矢田部綾香が恐る恐る尋ねた。

「まあ、そういうことだね」

「だって」と矢田部綾香が、みんなを舐めるように見入った。

「やったー」と口々にみんなが言う。各チームは、ほぼ接触がないはずなのに、まるで一つのチームのようだ。デズニーランドにいって遊んだだだけで、こんなになるものか、そしてあたかも矢田部綾香がそのリーダーのように感じる。

「一体これは」野神慎也がお驚いているのを尻目にみんなで喜びあっている。

「だってこれで何の遠慮もなくまりえと付き合えるんですおよね」

「あ、ああ。君たちは一体」

「私達本当に心苦しかったんです。なんだかんだか、まりえをだましているようで、でもこれで普通に付き合えるねえ」と再び矢田部綾香はみんなに同意を求めた。するとみんなえ嬉しそうにうなづいた。そんな娘達をぼんやり眺めてたらていたら矢田部綾香が近づいてきたそしてその動きに呼応するように娘達が野神慎也の前に整列したまるで訓練されたかの様な一死乱れぬ姿だったた。

「課長」

「えっ」

「私たちと一緒に個人的なまりえプロジェクトをしませんか」

「えっ」

「まりえプロジェクトは、世界に必要です。このどうにもできない世界を変えることができるのは、まりえプランだけです。そうは思いませんか」

「う、うん、それは思う」

「なら」

「いやでも、世界が変わると言うのは、社会体制を壊すということなんだ、世界は大混乱に陥る、そもそもそれを防止するのが僕らの仕事だったんだ」

「本当にそう思っているんですか」全員が野神慎也を見つめた。それはあまりにも直向きな、美しい表情だった。本気か。と野神慎也は思った。

「化け物おばさんと親父も同じ思いなのか」

「はい、デズニーランドではっきり分かりました」21人の小娘達をたった一回遊びに連れて行っただけで。よくぞここまで洗脳したもんだ。野神慎也は空恐ろしいものを感じたが。間接的に自分も洗脳されているのかも知れ無いと思った。

「私たちには野神慎也さん。あなたが必要なんです」

「必要なんです」全員が声を合わせた。

「お願いします」と矢田部彩香が頭を提げた。軍隊式のお辞儀だった。するとそれ以外の全員外出同じように頭を下げて

「お願いします」と声を合わせた。

どうやら腹を括らなければならないのは自分の方だと野神慎也は思った。

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まりえプロジェクト 帆尊歩 @hosonayumu

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