第12話 ディズニーランド 2
次に日野神慎也は辰巳情報サービスの自らのデスクに座っていた。無論落ち着けるわけもない。
「部長仕事場に行かなくてよろしいいのですか」野神慎也の有能な秘書が言ってくる。シンディーを一番最初に対応した人物だ。何かがあるというのは十分かっている。有能な秘書は何も言わないのが能力の一つだ。でも疑問がつのれば絶対はない。
「何が言いたい」と野神慎也は尋ね。
「聞いたら、答えてくれるんですか」
「えっ、あっ、いや」この有能な秘書は表情を崩さない。
「部長、外出したければしても結構ですよ。全力で部長はここにいるようにしておきますよ」
お前はどこまでわかって言っているんだ。と思ったが、その言葉に従うしか出来なかった。とそのとき野神慎也は一つのことに気づいた。阿部まりえに直接会ったことがないことに。
「ちょっと出てくる」野神慎也は秘書にそういいうと辰巳情報サービスをでた。
野神慎也にとってディズニーランドなど何年ぶりだ。そして護衛がつかない外出がどれくらいぶりだろうと思った。ディズニーランドは広い。いくら違和感バリバリの一団が目立つとは言ってもそう簡単に見つけることなどできない。仕方なく矢田部綾香の携帯をGPS検索した。場所を特定して行って見ると、なんと全チームいるではないか、更にお客さんまでいる。
ABCのチームはお互いに面識はないことになっている。一体どうしたと言うんだ、そしてその中心に親父とシンディーが居る、こいつら何をしたんだと思った、そのほかの護衛はいない様だったが、そんなことはありえない。
オヤジと、シンディーはそれぞれ五十人前後の護衛がいる、さらに駐留米軍空いくらでも応援が呼べるのだ。
しばらく一団について回った、全員本当に楽しそうで、みんなこんな感じで笑うんだと野神慎也はおかしなことを思った。しばらくついてまわって野神慎也は自分は何をしているんだろうというきになった。本当は自分は何がしたい、この仕事についたのだって、この世も中を変えたい思ったからだろう。まりえプランを始めて読んだときどう思った。これしか世の中を変えることは出来ない。なんて素晴しいプランだろうと思った、でも次の瞬間頭の中で警報が鳴った。其の時点で野神慎也は国家機関の一つに成り下がっていたのだ。野神慎也は意味不明の敗北感を抱いてその場を後にした。おそらくオヤジ達の護衛が野神慎也の存在をオヤジの耳に入れているだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます