第10話 誤りの解釈に潰された

気がつくと目の前にはまたいつもの天井だった

「おはようございます、よく寝れましたか?」

今日はキャニャの声がした


結果、魔夜のモヤモヤは晴れない、むしろ増えてしまった


(ロンは…生きているのか?)


魔夜は述懐が死んだという事実をやっと受け止められるほど落ち着いた


そのため、いつもは一日をほとんどベッドで過ごしていたが、今日からダイニングルームで朝食を食べることになった


部屋に戻り、大きなソファに座って、テレビに電源を入れた

魔夜はこの星で初めてテレビを見る

どれも地球と同じような番組ばかりだった。


お昼の少し前、部屋にキャニャが訪れた


「魔夜様、ワドのことについてなんですけど…迷惑かけてないでしょうか?」

「そんなことないですよ」

突然の質問に驚いたが、魔夜は冷静に答えた


「どうしてですか?」

「あの子、無愛想でして…」


たしかに、この前の話し方からしてあまり話すことに慣れていないのは分かった

その時、魔夜はワドの発した言葉を思い出す


『僕達も君と同じだから』


『僕、1人でした』


ワドには兄妹がいる。

なぜ1人?

そして【僕達】

もう1人、魔夜と同じ状況の人がいた

考えられるのは


キャニャ


はっとした魔夜はキャニャに声をかけた


「キャニャさん、昔何があったんですか?ワドとキャニャさんに、何があったんですか」


キャニャは開き切ってない瞼を大きく開け、はっとしてこちらを見る

「なぜ、それを?」

「ワドさんが言ってました。僕達と同じとか、1人だとか」


「余計なことを…」

キャニャはぼそっと呟く

そして、口を開き始めた


「獣の精は、低い地位の物。奴隷にされたり、下僕のように扱われる。原因は地球にある言葉、アラビア語で書かれている本が原因。題名がなく、謎の本。」


「それって!」


魔夜が急にキャニャの話をさえぎった


「どうしました?」

「この前、見たんです、それ。父さんの部屋にあって」

「え!?」

「あの本のおかげで父さんの居場所を追い詰めたんです」

「あの本、まだ残ってるとは…」

「あの本に何が書いてあったんですか?」


「獣が原因、ただそれだけです。皆さんはダークグレー星が獣によって星が黒く染った、そう解釈しました。しかし、それは違う。この星を何とかしよう、そう動き始めたのが獣だということが分かった。」

「でも、それなら、2人に害はないかと」

「分かったのは私達が12歳の時。」

「…そうですか」

「それまで、獣の私たちは、親に見捨てられ孤児として暮らした。」

「キャニャさんの親も獣じゃないんですか?」

「ニンゲンとは違って、妖精は親が何であろうと、子供はあまりはっきりしないんです」

「なるほど」

「そこの孤児園であったのは、ワド。ワドの本性は心優しい。ただ、辛い過去で覆われてるだけだってのを気づいたの。だから、声をかけて、仲良くなった。信頼しあった。ワドは私と述懐様のことしか信用しなくなった。そして、6歳の時、述懐様がやってきて、私たちは雇ってもらうことになった。述懐様は名前をつけてくれた。兄弟の名前にしてくれた。信頼出来る相手が増えて嬉しかった。でも、その時もまだ、獣は批判されている。私たちが12歳の時、星が破壊されていく現状を見て、述懐様が立ち上がった。その理由がワドなの。ワドは『守りたい、この星の人たちを。僕たちにできることをしたい』って。述懐様の心を動かした。それで、あの本と結びつき、獣への批判は無くなった。」


魔夜は、黒い過去を聞くことが辛かった。

そして口を開いた

「僕のことは信頼してください」


キャニャの目から涙が溢れた

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ダークグレーの輝 ゆぅゆ @kotokotoyuyu

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