わたし

蓮珠

始まりの終わり

あぁつらい

『あなたよりつらい思いをしてる人はいっぱいいるよ』

そんなこと聞いてない

今は私がつらいんだもの

他の人がどうかなんてどうだっていい

『結局自分のことしか考えてないからそんなこと言い始めるんだ』

自分勝手だなんて私が一番知ってる


つらいものはつらいのよ

美味しいものは美味しい

不味いものは不味いように

つらいものはつらい


「死にたい」

少し違う

死にたいわけじゃない

だって痛いのも苦しいのも嫌だもの

願うことならば風に吹かれて

ふっ…と消えたい


「死にたい」

死にたいわけじゃない

ただ生きていたくないだけ


『死ぬのは怖い??』

えぇ怖いわ

未知のものはとても怖い

だから死にたくないのよ


「生きてるだけではなまるです」

じゃあ死んだら二重ぺけ??

生きていたくないと思いながらどうすることもできずただ生きているだけの私はさんかく??


そもそも丸をつけるのはだぁれ

私じゃないのかしら

私じゃない誰かに"私"は採点されるの??

じゃあ私を採点する人を採点するのはだぁれ


そっと木を見上げてみる

ふとロープに目を向けてみる


でも私は何もしないわ

だってきっと苦しいもの


つらいのは苦しい

苦しいのはつらい


結局何してもつらい

楽になりたいなぁ


夜空を見上げてみる

お星さまが光ってる

あのお星さまはまだ生きてるのかなぁ

私もお星さまになりたい

熱くて熱くてきっととてもとてもつらい

だけどとてもとてもきれい

だって光ってるのはお星さまの"いのち"

私の命も光ればいいのに

自分の命を削りながら光って

ちょっとずつちょっとずつ死んでいく

あのお星さまが死んだら誰がわかるんだろう

私が死んだら誰がわかるんだろう


「私が死んだら誰がわかるんだろう」

少し考えてみる

もし私が今塵のように風に吹かれて消えたら

いったい何人の人が気づくのだろう

〜もういいかい

      まぁだだよ〜

見つかるまで終わらないかくれんぼ

きっとずっと終わらないかくれんぼ


次は鬼ごっこでもやってみようか

鬼のいない鬼ごっこ

鬼さんは悪くないよ

鬼さんが何したの??

〜鬼さんこちら

      手を繋ぎましょ〜

これで私も鬼さんって呼ばれる

私も鬼さんも"鬼"じゃないのに

だぁれも私と手を繋いでくれないの

みんな私から逃げちゃうの

だから走って追いかける


でも追いつけないわ


あそこに見えるのはスタートライン

私より前にあるスタートライン

みんながいるのはゴールライン

あれあれ間違えたかしら

走ってみるけどスタートラインはどんどんどんどん遠ざかる


だからちょっと立ち止まってみる

寝転んでみる

疲れて寝てみる

起きてみる

そしたら誰もいない

地平線まで誰もいない

みんな地球の反対側まで行っちゃったみたい


私の心を涙で満たしてみる

ほら海ができた

これでどこまでも泳いでいける

私だけの世界

私以外誰もいない世界


ここではお空も飛べる

1番早く泳げるし1番早く走れる

私が誰よりも偉い人


私だけの世界を必死に揺さぶる人がいる

わぁ!!地震だ!!

怖いよ誰か助けて!!

でも誰も助けてくれない

私以外誰もいないから


つらいなぁ

「大丈夫だよ!!」

根拠のない大丈夫

それを信じて飛んでみる

だけどやっぱり私に飛べる翼はない

だから真っ逆さまに落ちる

でももういいや

どこまでも落ちればいいや


私は助けてほしいんじゃない

みんなにも見てみてほしいだけ

こんなに素敵な世界があるんだよ


落ちて落ちて落ちたらこんな世界があったんだよ

お〜い!!

誰にも声は届かない

どうやら私は落ちすぎたみたい


体が重くて持ち上がらない

一生ゴロゴロしてたいな

もう疲れちゃった


みんなは怒るよ

「いつまでゴロゴロしてるの!!」

ゴロゴロできないならもういいや

休めないならもういいや


そっと崖のへりに立って平均台

ひやひやはらはら


煙もくもく煙たいなぁ


首がぎゅー苦しいよぉ


雪山登山寒い寒い


いろいろいろいろ考えたけど

私は私でいたいから

私はこれでいいや


ふぅー

私の世界に風が吹く


さあぁぁぁ…


『今幸せ??』

幸せってなぁに

『今つらい??』

つらいってなんだっけ


「あなたはだぁれ」

"私"だよ


私の世界に名前なんていらない

-私しかいないから-

頭だって良いも悪いもない私が1番!!

-私しかいないから-


私が私である限り

私の世界は存在する


こっちにおいで??

寒いでしょ??


寒かったら暖をとろう

痛かったら痛み止め

我慢なんてしなくていいんだよ


その気持ちに名前なんていらない


今いる場所から逃げ出したい??

ならここにおいで

住民票もパスポートもいらない

何も持たずにおいで

私はいつでも"ここにいる"





生きていてもはなまるです

死んでしまってもはなまるです

なぜならあなた自身がはなまるだから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたし 蓮珠 @SaToLa_27

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ