12話 またね


(11月30日 明正高校 休み時間)


由美子「茜、コンタクトにしたんだ。すごくかわいい!」


茜「ありがとう」照れながら答える。


黒縁メガネを外した茜は、色白で目が二重で大きく、優しそうな小さな口元、まるでアイドルのように可愛かった。


茜「ねぇ、満君ってどこ住んでるのかな?」


由美子「ほー、、隆君に聞いて調べてあげようか?」必死で笑顔を殺しながら、答える。


茜「いや、やっぱいいや!」


由美子「え?なんで?会おうよ」


結局その後、茜は会おうとは言わなかった。まるで先走ってしまった感情を理性が否定するかのように。


由美子にとっては見慣れた光景だった。茜は自身の環境が影響しているのか、昔から我慢の多い子だった。


そして、とても「頑固」である。

こうなってしまったら決して折れない事も由美子は見慣れている。


その後の授業中、窓側の席の茜は、時折、遠くを眺め、寂しくなり、、

そして、寂しさを忘れるかのように、授業に強く集中していた。


〜〜〜


(11月30日 東翔高校 放課後)


キーンコーンカーンコーン♪


チャイムと同時に満は猛スピードで下校した!


(これ以上、損失が膨らんでいたら、マジ終わる)


急いで高井戸駅の改札をくぐり、駅のホームで電車を待っていた。こんなに早くに高井戸駅に着くのは初めてだった。


各駅渋谷行きの電車が到着して、ドアが開い


た、その時!



「茜ちゃん!」

「満くん!?」





開いたドアの先には茜の姿が!


今日はメガネを外していたが、一目で分かった。


満は電車に乗車した。車内は静かだ。


茜の向かいの席に腰掛けた。




車両には、満と茜の2人しかいない。





茜「そっか、満君、東翔高校だったんだよね」

満「う、うん。そういえば茜ちゃんも高校吉祥寺だっけ?」

茜「うん」


向かいの席に座ってた満は、無言で茜の隣の席に移動した。


茜は緊張して、顔を赤らめていた。



満「いつもこの時間なの?」

茜「そうだよ、満君は?」

満「俺は今日だけ急いで帰ってき、、あ!、まぁいいや」

茜「?」


満は株の事なんかどうでも良くなってた。


満「茜ちゃんこの後空いてる?」

茜「(!?) う、うん。空いてるよ」

満「下北沢でも行こっか!」

茜「え!あ、うん」



「下北沢〜」



僕たちはその後、古着屋、雑貨屋、パワーストーンのお店をまわり、「偶然のデート」を楽しんだ。



2人はぎこちなくとも、苦痛ではない、不思議な空気感だった。



ただただ、楽しかったのを覚えている。



(17:30)


冬だからか日が暮れるのが早い。


満「茜ちゃんの家って確か下北沢だよね?送るよ」


茜「あ、ありがとう」


茜が道順を案内しながら、2人は無言で帰り始めた。



「ユートピアの木」が50m先に見える



茜「ここでもういいよ、ありがとう」


満「うん。今日はありがとね」そういうと、満は後ろを振り返り、歩き始めた。



2人「あのさ!」


満「あ、あのさ、俺、前から茜ちゃんの事好きだったんだ!よかったら付き合ってください」








〜〜〜〜










2023年10月 (あれから3年後)


汐留の高層マンション最上階。

満の資金は現在27億円まで増えていた。


今の生活は、家族と隆しか知らない。



茜ちゃんとは、下北沢で2人で会ったのを最後にもう会っていない。


さっきのは、最後「妄想」だ。正しくはこうだ。。。


〜〜〜


満「うん。今日はありがとね」そういうと、満は後ろを振り返り、歩き始めた。



2人「あのさ!」




満「・・・受験頑張ってね」



茜「・・・満くんも株、頑張ってね」



僕と茜ちゃんの初恋はここで終わっている。


〜〜〜


あれから3年、茜ちゃんと会ってない


今思えば良かったのかもしれない。


「トレーダーとして大成する為に、自分は1人にならなきゃいけない」

・・本能では決めていた事だ。



満は窓の外からPCモニターへ視線を移し、現実世界に帰ってきた。




Twitter:現在フォロワー数は27万人


「+3600」一言コメントした。


凄いスピードでいいねとコメントが今日も増えていく。


モニターが5台並ぶPCの前に携帯を置いて、満はベランダに出た。


(流れ星だ!)


満はしばらく夜空の星達を眺めていた






「サヨナラ」






それは、億トレが若かりし頃の、甘酸っぱい初恋物語でした。









     see you again







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億トレ Sara-arai @Sara-arai

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