第5話 想い 〜それぞれの想い〜
あれから、母親に状況を話す事にした。
母親一緒に住む?と尋ねられたものの私は断りを入れた。
母親も今は一人で暮らしているとの事だけど、お付き合いしている人がいる事を聞いた。
邪魔をする気ない為、断る事にしたのだ。
だけど、一人は確かに危険過ぎるかもしれないけど、何かあったら警察に連絡するようになっている。
今の所は、何の問題もないけど、油断は出来ない。
滝村君も気にかけてくれているけど……
「羽田!」
学校帰り、名前を背後から呼ばれ振り返る視線の先には
ドキッ
「滝村君」
「今からバイト?」
「ううん。今日は休み貰った。用事あったし」
「そっか。その用事付き合おうか?一人で大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ」
「じゃあ、いっか」
「うん。まあ、別に駄目じゃないから付き合って貰っても良いけど」
私は付き合って貰う事にした。
用事を終わらせ帰っていると……
「最近どう?変化あった?」
「ううん。今の所は大丈夫だよ」
「そっか」
「私の心配は良いから」
「いやいや、危険だから自覚持て!」
「そう?」
「そうだっつーの!」
私達は色々と話をしながら帰る。
そんなある日の夜。
「………………」
いつも帰る部屋に違和感を感じた。
《気のせいかな?》
そう思いつつも、普段と変わらない時間を過ごす。
「………………」
《何だろう?》
《やっぱり何か違う》
私は、滝村君に連絡をしておくことにした。
次の瞬間。
グイッと腕を掴まれた。
ビクッ
「えっ…!?」
ドサッと押し倒されたかと思うと両手を押さえつけられた。
ドクン…
そこには、意外な人物がいた。
奴だ。
「やっと二人きりになれたな。弥来」
「…な、何で…つーか…不法侵入じゃん!は、離せっ!」
「前の続きしようじゃないか?」
「な、何言って……。ふ、ふざけんなっ!つーか、何でいんのっ!?」
鍵を見せられた。
「……………」
「鍵穴は変えない限り、使えるからな」
「………………」
私は、抵抗するも怖くて力が入らない。
再び両手を押さえつけられたかと思うと、唇が塞がれる。
《い、いや…誰か…》
そう思う中、洋服は引き裂かれる勢いで脱がされ肌が露わになった。
悔しい!
こんな目に遭うなんて思ってもみなかった。
私は涙が溢れる。
次の瞬間、体の重みから解放され、奴の姿が私の視界から消えた。
「……………」
「油断も隙もあったもんじゃねーな!クソエロ親父っ!」
「…………………」
そこには、まさかの彼がいた。
滝村君だ。
「なあ、弥来、コイツ警察に渡して良い?つーか…既に遅いけど」
奴は警察官に不法侵入と暴行罪の未遂という現行犯逮捕され連行された。
「大丈夫か?」
そう言いながら、私に毛布をかけると、
両手で両頬を優しく包み込むように触れる。
ドキン……
「怖かったろ?」
優しい眼差しで瞳の奥からのぞき込む表情に私の胸がざわつく。
グイッと抱きしめられた。
ドキッ
胸が大きく跳ねる。
「…大丈夫…ありがとう…」
戸惑う中、平静を装う。
「…ごめん…マジ…助か…っ…」
キスされた。
《えっ…?》
唇が離れ、至近距離で見つめる彼の表情に再び胸がざわつくのと同時にドキドキと加速する。
恥ずかしいのと同時に押し退けたいが、両手は身体ごと毛布にくるまれ身動きが取れない。
再びキスをされ深いキスをされた。
突然の出来事に戸惑う私。
「…………………」
初めての事で、どうすれば良いのか分からないのもあり、私は目をそらすように下にうつ向く。
「悪い…」
私は首を左右にふる。
「弥来。ここ(部屋)を出な」
「えっ…?」
意外な言葉に顔を上げる。
「俺の所に来な」
ドキン
「えっ…?」
「こは危険過ぎるから。例えアイツが捕まった所で、女一人暮らしはリスクが高過ぎる」
「………………」
「つーか…俺が気が気でないし心配なんだよ、弥来。だから…」
「滝村君…」
「俺じゃ駄目か?俺じゃ、お前の力になんねーのか?」
「………………」
私は涙がこぼれ落ちる。
「弥来?」
「…ありがとう…蓮…」
平気なふりを見せ笑顔を見せる。
「…無理すんなよ…弥来。無理して笑顔作んなっ!…俺の前だけは…ありのままの自分見せろよ…弥来…」
スッと私の涙を拭うと、再びキスをすると何度も深いキスをされた。
何故か、つい声が洩れてしまった。
かああああ〜っ!
恥ずかしくて体が熱くなる。
グイッと抱きしめられた。
「…消毒…つーか…ゆっくりでいいから…俺にもっと心開いて欲しい…弥来…。…俺だけには…ありままの自分を見せて欲しい」
「…蓮の事…信じて…良い…?」
「ああ。つーか、信じろ!俺の傍にずっといろ!」
私はゆっくりと頷き、涙が溢れた。
彼は何も言わず、抱きしめてくれていた。
そして、泣き疲れては、いつの間にか眠っていた。
「………………」
頭を撫でられる。
そうとは知らないまま、私はスヤスヤと寝息をたて眠っていた。
「幸せそうに寝てんなぁ〜。つーか無防備過ぎだろう…?」
その後、私はここの部屋を出た。
私の状況を彼が話をしてくれていたみたいで、彼の家族に詳しく話す事にし、しばらくは一緒に住まわせて貰った。
しかし、そんな彼の家も事情が色々とあるみたいで……
夫婦関係は仲良いように見え結構、喧嘩が絶えない。
何度も離婚の危機になったという。
その繰り返しとはいえ、結局、二人の夫婦の絆は切っても切れない位、本当は愛し合っているのだろうと思う。
喧嘩する程仲が良いとは言うけれど、その言葉が合ってるのではないかと思う。
そんなある日の放課後の事。
バイトが休みの日。
私の前の席に蓮が腰をおろし向き合う私達。
「なあ、1つ聞いていい?」
「何?」
「お前って…女の子?それとも…女?」
「はい?どういう意味?」
「そのまんま」
「えっ?」
「じゃあ、分かった。ストレートに聞く。初Hの相手は、まさか、あの義理の父親?」
「…えっ…?」
「………」
「…………」
「………………」
「……おい…!……その反応どう取れば良いのか分からないんだけど…」
これに関しては、彼にも家族にも伝えていない。
2回目に関しては未遂に終わった事は話をしたけど、私自身が記憶にないのが現状だからだ。
スッと片頬に触れる。
ドキン…
蓮との時間が増え、私の心がおかしくなっていた。
ドキッとしたり、ドキドキしたり……
気付けば蓮の事を目で追っている自分がいた。
恋愛なんて程遠い。
そう思っていたんだけど……
「どうなの?」
「…そ、そんなの…」
「……………」
「…まあ…話したくないなら無理に聞かないけど…」
スッと触れていた手を離し始める手を引き止めるように自分の手を重ねた。
「…分からないんだ…」
「…えっ…!?」
「その時は中学ん時だったから…目が覚めて気付いた時は…ベッドの上だったから…」
「………………」
スッとお互い手を離す。
「…そうか…」
「笑っちゃうよね?覚えてないとか、分からないとか…人間として…どう…」
ドキン…
背後から抱きしめられた。
「自分責めるの辞めな…お前は何も悪くない」
「………………」
「…ありがとう…でも…」
「…弥来…。じゃあ…どうしたい?」
「えっ?」
「今のまま…モヤモヤした状態を解決する方法はあるけど?俺に身を委ねてみる?」
「…えっ!?」
《身を委ねる?》
《…どういう…?》
《それって…つまり…まさか…?》
「………………」
「…お前の気持ち…知ってるつもりだけど?」
「えっ!?」
キスされた。
至近距離に胸がドキドキ加速する中、耐えれず目をそらそうとすると、両手で両頬を包み込むようにされたかと思うと再びキスされ、深いキスを何度もされた。
つい声が洩れてしまう。
「…ここ学校…つーか…反則だろ…?」
ちょっと熱っぽい視線を感じる中、私達は見つめ合う。
胸がドキドキ加速する中
「…だ、だって…!…れ、蓮がキスしてくるから!つーか…そ、そういう蓮がいけないんじゃん!」
「………………」
「か、帰ろう!」
私達は、騒ぎながら教室を後に校舎を出た。
家路に帰りつくと
「えっ…?」
「二人きりとはな〜。どうする?」
ドキッ
「えっ!?どうする!?何が?」
「何が?って…夕飯」
「…えっ…?あ、あ〜…夕飯…ね」
「そう!夕飯!つーか、何、意識してんの?すっげー、伝わんだけど?」
「いや…別に意識してないし!」
「………………」
グイッと引き寄せキスをすると、フワリと抱きかかえられ、お姫様抱っこをしたかと思うとソファーにおろし、私の両手を押さえつけた。
ドキン…
「ちょ、ちょっと…!待っ…!蓮っ!」
「…………………」
スッと離れるのと同時に、引っ張り起こすと肩を抱き寄せ、頭を凭れかけさせる。
「安心しな!お前を傷つける気ねーから。つーか…そんな事したら、お前自身、俺に心開かなくなりそうだし」
「…蓮…」
「お前の心が決まるまで俺は手は出さない。まあ、意地悪する時はあるけど」
微かに微笑む蓮。
「いつでもぶつかって来な!俺はお前の事を考えてるから」
そう言うと、私のオデコにキスをした。
ドキン…
ねえ……
あなたにとって
私は
どんな存在ですか?
私は……
あなたが好きです……
私の心の傷を癒やして下さい……
その日の夜。
私は蓮の部屋を訪れた。
「…蓮…」
「ん?」
「何度も挑戦してくんないかな?」
「えっ?」
「凄く怖いけど…蓮なら…。…ううん…。蓮だけの…ものにして……」
「……弥来…?いや…無理しなくて良いし」
「無理しなきゃ壁越えられない…モヤモヤを解消して…」
歩み寄る蓮。
フワリと優しく包み込むように抱きしめられる。
「弥来…焦らなくても良いんじゃねーの?」
ギュウっと蓮を抱きしめる。
「…お願い…」
「………………」
「…弥来…」
名前を呼ばれ顔をあげると同時にキスをされ更に深いキスを何度もされる。
「…分かった…だけど無理はするな」
私はゆっくりと頷く。
再びキスをすると、お姫様抱っこをするとベッドにおろし優しい重みを感じながら私を押さえ付ける。
何度も挑戦し、私達は1つになった。
結果、中学の記憶は明らかになり、どうやら関係を持った感じではなかった。
「良かったな…弥来…」
「…うん…」
「これで、お前は俺だけのもの。それから…逆になったけど、俺もお前が好きだから…」
ドキン
「えっ…?」
「でなきゃ…協力しねーし。気付いたら好きになってた…改めて宜しくな。弥来」
「…うん…」
私達はキスをした。
〜 E N D 〜
君の力になれたら ハル @haru4649
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