届くまで(Twitter300字SS)

伴美砂都

届くまで

 菜子なこがタイムラインにいるときを見計らってツイートする。菜子も観た映画の感想、菜子も好きなキャラのグッズ写真、共通の趣味であるイラスト。いつからか菜子は私のツイートにいいねをつけない。


〈「いいね」って思ったらするし、しないのはそういうこと。義理ではしないって決めてる〉


 いつものようにタイムラインに貼り付いていた夜、菜子のそのツイートに、さあっと血の気が引いた。同時に、あ、届いていたんだ、と思う。いや、でも、わからない。ツイートには既読がつかないから、本当に届いたかなんて。私はツイートし続ける。菜子にいいねしてもらうために、菜子の好きなキャラのイラストを、菜子の好きそうな話題を、何度でも。

 届くまで。

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