神か悪魔か? 純粋な少年の行き先を決めるのは「教育」なのか?

主人公の少年テツが、作中もっとも大きな「謎」である。
彼は物凄く強いのだが、それはラノベ的な最強ではなく、畏怖の念を感じさせるような強さなのだ。
しかもたった半年で言葉を覚え、大人向けの本が読めるなど、おそらく頭脳も天才に近いはず。
だが彼の心は、ただ楽しいこと面白いことに反応する幼児のよう(実際、幼児と言って差し支えない年齢なのだが)。
だからこそその存在は大変危うく見える。
一歩間違えれば、人類の脅威となるかも知れない恐ろしさをはらんでいるのだ。

だが物語の狂言回しともいえる考古学者アンジは、ある意味常識的というか、人が良すぎて鈍感というか、テツの異常性に気付かず(気付きたくないのか?)愛情をかける。
それゆえにテツは無邪気な少年として成長していくのだが――

読者はテツの持つ大きすぎる力を知っているため、いつそれが日の下にさらされるかとひやひやしながら見守ることになります。
テツが幼く自分の力の特殊性に気付いていないからなおさら! 考古学者アンジがテツを可愛がっているので、裏切られたら大変、という気持ちにもなってしまう。

不穏な空気を感じながら進むほのぼのシーンもなかなか良いものです。
また、考古学者の研究にもリアリティを感じて興味深く、島の動植物なども架空のものと思えないほど緻密に描かれていますよ!

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