第10話 恋のA・B・C
「母さん、これは・・・なに?」
「何ってタイトルに書いてある通りよ。」
さっきまで泣いていた母さんがけろっとした顔で説明し始めた。
「私が考えた玲ちゃんの男嫌いを克服するためのプランよ!!」
母さんは自信があるのか胸を張り主張してきた。
「えーー。」
俺は恐怖を感じながらも恐る恐る文章を読み進めていくと意外にもちゃんとしたプランが
「母さんにしてはよくできてるね。」
「当然よ、だって澪さんと考えたんだもの。」
「・・・・・・・」
俺の誉め言葉を返してほしいと思いながらも母さんには感謝していた。正直、先輩の男嫌いを克服するためには俺自身、なにかしらの行動を起こさなければならないと考えていたが全然思いついていなかったからだ。
「まぁ、いいや。ありがとう、母さん、澪さん。・・・ところでプラン Aてことは他にもあるの?」
「えぇ、あるわよ。プランA・B・Cが!・・・まだBとCは作成中だけどね。」
「AのほかにもBとCもあるんだ」
「えぇ。ちなみにこのプランA・B・Cは恋のA・B・Cと思ってくれればいいわ。」
「・・・へ?こ、恋のA・B・C!?」
母さんはおかしなことを得意げに言い放ち、何かの間違いかと思い澪さんのほうをみても澪さんまでもが自信ありげに胸を張っていた。
その中に一人だけ会話についてこれていない人物がいた。・・・そう先輩である。
「恋のA・B・C?ってなに?なんで恋と男嫌いを克服するのが関係あるの?」
「玲ちゃん、恋のA・B・Cというのはね・・・ぐむぅ!!」
「純粋そうな先輩になに教えようとしてるだよ!?母さん!!」
俺は説明しようとした母さんの口を押え話させないようにしたが、何故かもう一人が先輩にこそこそと話し始めた。
「ちょ、ちょっと!?澪さん!?」
説明を聞いていた先輩は最初こそは大丈夫だったがみるみる顔を赤くしはじめ、最終的には耳まで真っ赤になっていった。そしてなぜかプルプルと震えだしていた。
「せ、先輩?」
「っ・・・!?け・・・」
「け?」
「ケダモノ!!」
「えーー!俺なにも言ってませんよ!?」
「やっぱり、男なんてケダモノなんだわ!」
先輩が恥ずかしさのあまり暴走してしまった・・・。
「ちょっと、母さんと澪さんも見てないで誤解を解いてくださいよ!」
「有馬くん、頑張って。これから何回もこんなことが起こると私は思うの。」
「頑張って~、有馬~」
「マ、マジかよ。」
やっぱり、同居生活なんてやめた方が良いのではないかと心が揺らいだ俺であった。
付き合うことが面倒だと思っている俺と男嫌いの先輩の同居生活 夜月 秋朝 @yoruduki-syuasa
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