相手が推しすぎてつらい。
上村 梓
第1話
私は、誰がなんと言おうと「アイドル 西村優樹」と付き合いたい。
無理だと言われようと、頭がおかしいと言われようと、親に反対されようとなんだろうと、だ。
西村優樹 通称西村くんを推し始めたのは何年前だったか。
会費を払い、ファンレターをしたため、テレビに出たら録画してリアタイして、コンサートは全ステした。
こんなに尽くしてるのに、西村くんはいつも遠い。
所詮アイドルは虚像である。
掴めそうで掴めないギリギリのところに存在する。
そして想像の西村くんだけが膨らんでいく。
朝起きたら隣にいる西村くん。
通学しいると後ろから走って声をかけてくる西村くん。
隣の席から消しゴムを貸してほしいと声をかけてくる西村くん
バイト先の先輩西村くん
とある財閥の跡取り西村くんと一般庶民の私の恋
などなど。
私の想像の西村くんはどれも優しくてかっこよくて私のことを好きである。
相手が推しすぎてつらい。 上村 梓 @azu0109_sa
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