第14曲 忠犬ハチ
タイトル:忠犬ハチ /ツユ
ジャンル:J-POP
URL:【 https://www.youtube.com/watch?v=G5HKY-vM_6g 】
曲構成: 正暦
このコーナーではお久しぶりです。蓬葉です。
今回は二月ほど前に公開されたこちらの曲になります。
1、忠犬ハチ公の概要
忠犬ハチ公の話を全く知らないとこの曲の真意は理解できないと思う(それはそれでいいと思いますが)ので、一応以下に概要を載せておきます。
忠犬ハチ。渋谷駅に建てられた彼の銅像は、人々の待ち合わせの場所にもなっています。
秋田で生まれた年、1924年に、東京帝国大学教授だった上野英三郎に引き取られました。しかし翌年、上野教授は亡くなってしまい、別の家に引き取られます。ところが、上野教授を慕う気持ちが勝ってか、ハチはかつて上野教授が渋谷に帰って来ていた時間に、駅まで向かうようになりました。渋谷駅でしばしば目撃されていたようです。上野教授は、講義中に亡くなったようで、ハチ自身はその死の瞬間を見ていないことになります。
それから10年後の1935年、渋谷川にかかる稲荷橋付近でハチが死んでいるのが発見されました。告別式には、上野の妻、後にハチを引き取った夫妻や駅員など、たくさんの人々が参列したそうです。なお、初代渋谷ハチ公像はハチの存命中の1934年に建造されました(ちなみにハチ公像は他にもあるようです)。
2、ツユの曲としては……
ツユの新しい可能性を感じてくれたら嬉しいです。ハチ公のお話がこれからも語
り継がれますように。
YouTube(上部リンク)の公開コメント欄に「ツユ」が投稿したコメントです。ここで注目されるのは「新しい可能性」という部分です。
ツユは作詞作曲のぷす(かつては「じっぷす」)、ボーカルの礼衣、イラスト・デザイン担当のおむたつ、動画・デザイン担当のAzyuN、ピアノ担当のmiroからなる音楽ユニットです。ツユとしては「やっぱり雨は降るんだね」(2019年6月12日)が一番最初の曲だったかと思います。
ぷすさん自身はツユ以前にも曲を作られていて、私の中でのボカロ全盛期だった中学期(2014年頃)には「レイワイテロリズム」なる曲を聞いた記憶があります。また、少し全盛期を抜けた中学生時代末期から高校生期にかけては「アサガオの散る頃に」、「梅雨明けの」、「ナツノカゼ御来光」という、私が勝手に「夏三部曲」と呼んでいる曲群が出されました。
ツユとしては恋愛曲と同時に「くらべられっ子」「過去に囚われている」など、風刺的というか社会的というか、屈折した感じを受ける曲も多いように思われます。
曲調は早いものが多く、歌いやすいか歌いづらいかだったら、歌いづらい方に入ると思います。
「新しい可能性」というのは、明確な典拠を持つ楽曲であるということでしょうか。これまでの楽曲には、明らかにこれが元ネタだというものはなかったと思います(もちろん、隠された典拠があることは否定できませんが)。それに対し、「忠犬ハチ」はタイトルからもPVからも元ネタが明らかです。恐らく、そういう意味での「新しい可能性」なのでしょう。今後の楽曲も楽しみです。
3、曲概観
この曲は一人称「僕」、すなわちハチの目線で進行していきます。上野教授の死後、渋谷駅で教授を待っていた頃の話です。よって、上野教授は「おもひで」の中にのみ登場しています。夕方になっても、列車の音が聞こえても、何故か帰ってこない教授を待ち続ける直向きな様子が、その歌詞では描かれています。PVの最後では、橋の下で旅立つハチの姿が映し出されて終わります。
1で見た通り、上野教授の死からハチの死までは、10年という歳月が経っています。その時間経過については、歌詞中で具体的に10年とはもちろん書いてありませんが、随所から読み取ることができます。「もうどれくらい時が経ったかな」からはじまることや、後半に出てくる「季節の旅」という歌詞などから、やはりある程度の年月が流れていることが、前知識がなくても読み取れるでしょう。「何年も教授を待ち続けたこと」こそ、ハチの物語が現在まで伝わる理由の一つになっていると言ってもいいのではないでしょうか。
さて、そんなこの曲ですが、最後はかなり印象的な終わり方をします。ずっと待ち続けたハチの一生が報われるような、そんな終わり方だなあと私は感じましたが、いかがでしょうか。みなまで言うのも野暮なので、抽象的な表現にとどめておこうと、そう思います。
4,犬の歌
最後に、「犬の歌」ってどれくらいあるのだろうということを考えてみたいと思います。
例えばGReeeeNの曲には「子犬」という曲がありますし、まふまふさんの曲には「ナイティナイト」という曲がありますが、他は知らないです。ボカロではレフティーモンスターPの「さよならのかわりに」などがあります。部分的に犬が登場する曲もたくさんありますね。
そして、「子犬」以外の曲にはその「死」が描かれています。今回の「忠犬ハチ」もそうですが、楽曲で「犬」が登場する場合は死が描かれることが多いようです。
小説の場合はどうなのでしょう。私はペットらしきペットを飼った記憶がないので、必然そういう話も書いたことはないのですが……。次の自主企画に回してもよさそうですね。
久々の曲紹介でしたが、珍しく心が温まる曲でした。「ハチ公のお話がこれからも語り継がれますように」、私もそう願ってやみません。
【誰得】最近聞いた曲を書き残していく 蓬葉 yomoginoha @houtamiyasina
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