ハイパーペーパークラフトという架空の競技を描く本作。
王道ど真ん中のスポ根でシンプルに見ていて熱くなれる。
新しく部活を作って、メンバーを集めてそれぞれの強みを活かして戦っていく。そんなよくあるはずの展開が「ハイパーペーパークラフト」のおかげですごく新鮮なものになってる。
そもそもが比較的マイナーな日本の伝統芸能である紙切りにフォーカスを向ける時点でセンスが凄まじい。
しかも、それを現代版にアップグレードした新しい競技まで創作してしまうんだから色々凄すぎる。
主人公陣営に加えてライバルキャラも魅力的に描かれていたり、程よく伏線も散りばめられていたりと全体的なクオリティも当然めっちゃ高い。
児童書というジャンルはカクヨムではあまり一般的ではないけど、物語の持つ本質的な魅力を再発見させてくれるなと改めて思いました。
伝統芸能の紙切りとペーパークラフトが融合した新競技「ハイパーペーパークラフト」。ひょんなことからその世界に踏み入れた主人公の実咲が仲間と力を合わせ、全国大会目指して奮闘していく物語です。
女の子らしくなりたいと悩む男勝りなイケメン女子の実咲。
彼女にちょっかいばかりかける幼なじみのケント。
転校生で関西なまりのあるハイパーペーパークラフト実力者の将継。
三人を中心に、個性豊かで活き活きとしたキャラクターが多数登場します。全体を通して小学生らしい賑やかな雰囲気があり、読んでいてとても楽しかったです。
そして、なんといっても、ハイパーペーパークラフトの戦いが熱い!
紙を切って作品を作っていく場面は、目の前で見ているかのような臨場感があります。戦いの駆け引きや、負けた時の悔しさ、強くなるための特訓など、読んでいて胸が熱くなるものばかり。興奮したり感動したり、魅了されながら読んでいる自分がいました。
「紙切り」という伝統芸能の奥深さも知ることができ、残していきたいという思いも伝わってきます。
楽しく熱く奥深いハイパーペーパークラフトの世界!
少年少女たちの熱い戦いをまだまだ見ていたい。そう思える作品でした。