ごく普通の高校生の少女が、ある日、自分の幼なじみが異世界の王子だったことを知り、それをきっかけに激しい戦いに巻き込まれてゆく物語。
楽しかった! もうひたすらエンタメしてくれる作品です。実は王子だった幼なじみ、手強い魔獣との激しい魔法バトル、そしてお姉ちゃん、と、欲しいもの・あったら嬉しいものをギュッと詰め込んでくれている。
いい意味でのありがち感をきっちり押さえた上で、でも作品にしっかり個性があるのがすごい。目に見える設定部分の独特さではなく、この瑛美さんや優弦くんを身近に感じさせてくれる、この感じ。お父さんたちも好きっていうか、出てきてちょっと喋ったあたりでふんわり人物像が掴めちゃうのがすごい。キャラを好きになれるお話って、やっぱりいいものだと思います。
総じて、非常にまとまりのいいお話です。長編漫画のパイロット版読切みたいな安定感。とてもワクワク感のある、読んでいて楽しいお話でした。
お姉ちゃーーッんんん!!!
……失礼しました。
キャラクターネームや造語の使い方が絶妙に厨二を解釈されており「そうそう、こうだよなぁ」と納得した私です。展開も超展開、徐々に明るみになる「私だけが知らない世界」という感じで正に王道をゆく現代ファンタジー。
その昔、古代精霊言語が主流だった頃、つまり私がまだ幼い頃に好きだった『甲竜伝説ヴィルガスト』というガシャポンを発端としたメディアミクス作品がありまして(急になんの話?)所謂異世界転生ストーリーの先駆け(だと私は思っている)なんですが、現代人と異世界人の共闘がある。今作もそんな設定が起用されていて「熱い!ス!キ!」ってなっちゃいました。
そしてお姉ちゃん。タイトルが示すように、敢えて言い変えるなら「剣か魔法かお姉ちゃん」というパワーバランスだけあって無双が爽快でした。自分もこういうカッコ良さを持つ作品が書いてみたい。