第2話

「もう俺、出て行くわ...。離婚離婚。」


夫のカイは気性が荒い。


口癖は離婚なのではないかというほど簡単に"離婚"という言葉を口にする。


お正月、元旦、カイにはそんな事は関係無い。


「はい...どうぞ。」


結婚5年目、カイが家出をした回数はざっと100回は超えているだろう。月2回のペースだ。


カイと付き合い始めたのはちょうど10年前。


大学時代、2年ほど半同棲をしていた私とカイ。


その頃カイは、週1で私と喧嘩をしては家を出て行っていた。


つまり家出は2年で100回越え。異常な数字だ。



カイとの私の相性は良くないだろう。




なぜ結婚したのか?



なぜ別れなかったのか?




誰もがそう思うだろう。





バタンッ........。





「はぁ、よかった。さて何しようか、エレナ」




私には娘がいる。




カイが出て行くと「よかった」と無意識に口から出る。




いや意識的に口に出しているかもしれない。





娘のエレナが心配するからだ。




「パパ、お家帰っちゃったよ...わーん...」



今にも泣きそうな顔をするエレナ。




「少しお出かけするみたい。すぐ帰ってくるよ。それよりママと遊ぼうよ!何して遊ぶ?」




「うん!ママ!」



エレナはいつも天使のような笑顔を向けてくれる。




この笑顔を見るたびに私は心が痛くなる。




どうしてこんなに小さい子を置いていけるのか。




カイは何よりも自分が1番大事な人間。




私よりも子供よりも大事なのは自分。







元旦だからだろうか?私は決めた。





カイとは今年離婚をする。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

手紙 @kotori175

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る