人は「忘れられるから」救われる。でも、もし「救い」がスタートにきたら?

 最初に言っておきます。このお話は「物語としてはいい話」ですが、読んでてちょっと辛くなる面があります。ネタバレというか、私の体験談というか、「人生」は「忘れる事ができる」から「幸せ」に、じゃなく、「どうにか正気」を保って生きていけるという私の人生の結論に照らし合わせると、本当に深いです。

 作者は、多分、その結論を充分わかっていて、この物語を書いていると思います。「忘却」は救いとわかっていての「記憶喪失」、つまり、「救い」から物語を始めるのです。

 子供が「大人の汚い世界」を知って心が死んでいくように、っと、こんなことをいったらネタバレマウンテンですねw。てことで、この物語の「救い」は、「学園」ものであるということです。そして主人公は、未来のまだある年齢であるというところです。だから、ちゃんとハッピーエンドで終わります(ネタバレw)。

 いや、ほんと、それくらいのことを書かないといけないくらい、胸が締め付けられるんですよ。私は、今は疎遠になった同じ苦しみを背負った友人を思い出してしまいまして、思わず泣いてしまいました。

 ということで、作者の「とびっきり」の人生観がつまったこの一冊!是非読んでくださいね!!