動物好きのあなたへ、是非。動物たちの気持ちも分かる物語。

【物語は】
様々な動物を扱うトリミングサロンが、どんなところに建てられているのか、 その理由などが語られるところから始まる。80年前に建てられた場所だが、現在はある三姉妹が引き継いでいるようだ。

【トリミングサロンと三姉妹】
三人にはそれぞれ得意なものがあり、それによって役割も決まっているようである。この物語は恐らく、ファンタジーの世界にトリミングサロンがあったなら? というIFの世界観がベースなのではないかと感じた。
しかしながら、トリミングを行う動物の種類が変わるからと言って、トリミングを行う方法は現実世界と変わらないし、行う側の人間の意識が大きく変わることは、無いのではないかと思った。それは、動物が好きだからという気持ちの面のことを指している。

三姉妹の役割が語られる中で、彼女たちの性格も明らかになっていく。三人は姉妹ではあるが、それぞれ性格が違うように感じた。つまり、三人のやり取りにも見どころと魅力が詰まっているという事である。しかしながらこの物語の、メインとなる部分は動物とのふれあいやトリミングについてだと思う。

【登場人物の設定について】
この物語では冒頭の方に、登場人物紹介と名前の由来についてなどが資料として置かれている。

*補足
宗像三女神(むなかたさんじょしん)は、宗像大社(福岡県宗像市)を総本宮として、日本全国各地に祀られている三柱の女神の総称である。
宗像市(むなかたし)は、福岡県の宗像地方(福岡地方北東部)に位置する市である。北九州・福岡大都市圏に属す。(ウィキペディア調べ)

つまり由来の宗像三女神が祭られている宗像は、福岡県にあるという事である。そして、三女神が由来だという事は、なにか因果関係を物語の中に用意しているのかも知れない。あくまでも、これは憶測の域を超えないが。

【トリミングと同時に進むのは?】
この物語では、トリミングの仕方についても丁寧に描かれている。お客さんに説明するという方法で、丁寧に語られている印象。トリミングを自分で行うという事は、滅多にないとは思う。しかし冒頭に注意書きがあるので、そちらには必ず目を通して欲しい。
この物語はトリミングを行う上で、参考書になりそうなほど詳しく、そして分かりやすく描かれている。その為、自分でできると勘違いや錯覚してしまうかも知れない。動物は言葉を発しないだけで、人間同様痛みを感じる。なので、怪我をさせない為にも、出来ると勘違いして自分でやらないようにしていただきたい。いや、やってはいけない。

この作品の、面白い要素。物語が二つの視点で同時進行していくという斬新スタイル。ネタバレになってしまうので、詳しくは記載しないが、面白い要素である。したがって、この物語は三姉妹がトリミングサロンを開きながら、いろんな人と交流し、成長してく物語なのではないかと感じた。

【物語の見どころ】
動物の好きな方には、是非お奨めしたい物語である。テレビでもトリミングの仕方を観る機会はあるとは思う。しかし、実際どんなことをしているのかは、言葉で説明されないと、理由など分からないことも多いだろう。
この物語に登場する動物は、現実世界にはいないかも知れないが、ペットの気持ちを理解するきっかけになるかも知れない。
そして動物の好きな方が書かれているのではないかと感じた。それくらい丁寧に描かれた物語である。また、お客さんとのやり取りにも温かいものを感じる。お客さんは自分が大事にしている動物を、この辺境の地までわざわざ連れてくるわけだから、大事にしていると言っても過言ではないはずだ。

そしてこの物語は、ただのトリミングをしているサロンの話ではない。オリジナルの要素が掛け合わされている。三姉妹にはそれぞれ特性があり、特技となるものを活かしてトリミングサロンを経営しているのだ。
例えば”獣使い”には獣使いに出来ることがあるという事である。

あなたもお手に取られてみませんか?
三姉妹がこのサロンを通してどう成長していくのか? 名前の由来になった三女神は、物語の先でなにか影響を与えるのか? まだ他にも明かされていない要素がありそうです。ぜひ、その目で確かめてみてくださいね。お奨めです。