転生先が決まらない!
@metyakataru
第1話 多分大変なことが起きている
魔導師メリーナがその執事モンティに対して言う。
「いやだからどういうことなんか説明してもらわなあかん」
「はい」
「いや『はい』やあらへん。なんでこんなことになったんかを説明してもらわな納得できへんて!」
「すみません」
「いや『すみません』でもないから! もう今日はめっちゃええ気分で家帰れると思ったのに!」
どうやら魔導師メリーナの機嫌がすこぶる悪いようである。一体何があったのか。
ここは執事のモンティあたりに説明してもらわなければならないだろう。
「まさか私もこんなことになるとは思っていなかったんです」モンティが言う。「しかし気がつくといつの間にかこのようなことに。気がつくといつの間にかこのようなことになってしまっていたんです」
「そんなん当たり前やろ」メリーナが言う。「これがもしあんたのわざとやったらその顔面ぶったたいてるわ。もうぶったたいてる。私歴代の中でも最強クラスの魔導師やけど単純に手出してるわ。物理攻撃のコマンド選択してるわ」
「まことに申し訳ございません」
「いや、てかこれはそもそもあんたの謝ることなんか?」
メリーナとモンティの会話が続いている。
彼らの会話が続くのはいいのだが、こちらとしては何があったのか知りたい。
一体何があったのかだけでもいいから早く知りたいのである。
だってそうじゃないとこの話に入り込めない。
いや別に入り込みたいわけではないけれども、でもせっかくこの文章を読み進めるなら、事態だけでも把握しておきたいっていうのは人の性じゃない?
メリーナが言う。「私今日エステ予約しててん」
モンティが答える。「ああ、あの魔術師プリシラ様のところのですか?」
「せや、彼女な、今度新店出したって言ってたからな、顔出したらななと思っててん」
「会議が終わってから行ったらいいじゃないですか」
「いやそのつもりやったけどや」メリーナは続けて「まさかこんなどえらいことになるとはな。まさかこんなどえらいことになるとは思ってなかったんや。これはもうホンマにどえらいことやで。あきらかな失態やで」
「本当に申し訳ございません」モンティが言う。「では魔導師プリシラ様のエステ店のご予約はキャンセルにしておきましょうか?」
「せやな、キャンセルにしといて。てかまあ、それをいうとやな」メリーナが言う。「逆にプリシラのエステキャンセルできる理由できて良かったけどな」
「あ、そうなんですか?」
「そらそやで」メリーナは言う。「あんなん付き合いに決まってるやん。私ホンマは行きつけのエステ店別にあるもん」
「前は喜んでプリシラ様のエステ店行ってたじゃないですか」モンティが言う。
「あんなん最初だけやで」
「そんなもんなんですか」
「うん、てかやっぱ人頼りの商売はあかんて」
こいつら……
とりあえず何があったのかだけでも言えや……全然言うつもりないやん。
もう言わんまま第一話終わろうとしてるやん。
こんなんでええんか!
こんなんで誰がこの小説に興味を抱いてくれるんや!
ぜひ一緒に次の話に期待しましょう。
転生先が決まらない! @metyakataru
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