練りに練った設定とネーミングの圧で押してくる王道厨二バトル

 観察眼と知恵を武器とする諜報員の女性と、変幻自在の戦闘能力を戦闘員の男性とのコンビが、日本統一のために各地を回るお話。
 の、うちの第一章、規格外の武器と強さを持った侍と戦う「鹿児島編」まで拝読しました。
 とにかく熱くて迫力満点、まさに「ザ・厨二」といった風格のバトルものです。
 舞台は現代日本をベースに、でもそこからかなり突飛に尖らせたような、いわゆる現代ファンタジー風の日本。言葉遊び的な各種設定のケレン味に、全国四十七都道府県から宇宙まで巻き込んだスケール感、なによりほぼ異能バトルも同然の必殺技と必殺技の応酬、と、この突き抜けっぷりがただただ最高でした。日和ったり小さくまとまったりするところが一切ない、とにかくアクセル踏めるだけ踏んだようなこの感じ。良い!
 と、これだけだとなんだか大味なように思われそうですが、その実バトルの展開そのものは非常に細やかというか、しっかり勝ち負けのギミックを整えてあるところが本当にすごい。こんなの盛り上がらないわけがありません。「これこれこれ!」みたいな感覚。
 山盛りの設定とバトルが楽しい作品ですが、でも主人公のふたり、いつわさんとひょんさんの、でこぼこ感とバディ感も好きです。激流に身を任せるような読書感覚が楽しい、分厚い迫力のある作品でした。