苦しいとか、辛いとか、そんな言葉は簡単に出せない。透明度の少し下がった大人の世界。傷つきながらも懸命に生きてきた二人は、とある小説投稿サイトで作者と読者としてつながります。人付き合いに疲弊していたけれど、次第にその「文章」に、やがてはその奥にある「その人」に、救いを見出すように。けれど、そんなささやかな安らぎの場にさえも荒波は迫り……。まっすぐ泳げなくたっていい。濁った海の底にも、光はさします。