第10話

「では、やりますか」

「やりましょう」


遼と結衣はいつものように遼の家のソファーに座りながら気合を入れていた。


今日は土曜日。大作RPGの新作の発売日だった。ちょうど明日は日曜日で学校もない。


ということで、二人で夜更かししながら協力してこのゲームをクリアしようと話していたのである。


21.00になり、自分の家で風呂に入ってきた結衣が遼の部屋に来たところでゲームのカセットを入れる。


「にしても結衣その格好エロすぎない?」

「え、そう?別に露出は無いでしょ?」

「風呂上がりでパジャマってだけで十分だろ。てか、パジャマ他人に見られるの恥ずかしくないの?」

「これはギリ大丈夫じゃない?」


結衣は今、灰色で動きやすそうなTシャツを着ていた。確かにTheパジャマという感じではないが、ラフな格好に間違いはない。露出は無いと言っても、柔らかい服のためか胸があることがひと目でハッキリ分かる。これで街中を歩くようなことは出来ないだろう。


「かもしれないが、俺に襲われないように気をつけろよ」

「うん、気をつける。あ、でもブラはしてるから期待しないでね?」

「それは残念・・・・・・」


遼は大抵のイベントは豊富な経験から免疫がある。ただ、結衣の風呂上がりの姿を見るなんてイベントは経験がない。

結衣の顔が良いだけに、こういった新鮮なイベントにはどうしてもドキドキしてしまうのである。


結衣も結衣で何も感じてない訳ではなかった。ガチガチの普段着で行けば「あなたのこと意識してます」って感じがする。遼に、結衣が遼を意識してると思われるのは恥ずかしいためラフな格好で来たが、普通に恥ずかしい。


遼も冷やかす余裕はあるようだが本当にエロいことを考えてるのかもしれない。・・・・・・もしかしたら本当に襲われてしまうかもしれない。

それでも、少しの恥ずかしさと不安感はあれど、恐怖も不快感も無いのは親友への信頼故だろうか。


新作RPGは有名な大作なだけあって、かなり面白かった。結衣と遼は交代交代にコントローラーを握りながらプレイを進めた。


日付が変わり3時になる頃には中盤に差し掛かった。今は遼がレベル上げをしているところである。


遼はソファーを背もたれのようにしながらゲームをプレイしており、ソファーは結衣の独占状態だった。

結衣がソファーで横になりながらゲーム画面を眺めていると、結衣を眠気が襲ってきた。

そんな結衣が誘惑に負けて目を瞑ってから、意識を失うまでそう時間はかからなかった。


黙々とレベル上げを続けていた遼がレベル上げを終え、後ろを見ると親友が寝ていた。

今思えばずっと無言だったが、スマホでもいじっているのかと思って気にしていなかった。今寝たばかりという訳では無さそうだ。


また前みたいに叩き起こそうかとも考えたが、もう深夜であり寝るのが正当である。

それに親友があまりにも幸せそうな顔で寝息をたてていたので、叩き起して良いものかはばかられた。


とはいえ、このまま寝かしておいても風邪をひくかもしれないし首を痛めそうだ。


3分程の葛藤の後、仕方ないので寝ている結衣をお姫様抱っこし、自室のベットへ運んだ。途中で起きられたら死ぬほど恥ずかしいから起きないで欲しかったが、ちゃんと起きなかったので良かった。


無事に自分のベットに寝かすと起きないようにドアをゆっくり閉める。そのままカセットを別のものに変えゲームをすることにした。

ベットは結衣が寝ているから今日は徹夜確定だ。流石に隣の部屋へ行って結衣のベットで寝るのは変態すぎる。




その頃遼の部屋では少女が布団を強く抱き締め、悶えていた。電気が付いていればその顔はトマトのように真っ赤だっただろう。


「・・・・・・気付かれなくて良かった」


実は遼にお姫様抱っこされた時に起きた。

目を開けて直ぐに状況を理解し、直ちに寝たフリを開始したのである。途中つい薄目を開けたりしてしまったが、起きていることがバレていたらさぞ気まずかっただろう。


薄目を開けて見た遼の顔は普段の何倍もかっこよかった。女の子が夢見るだけあって、お姫様抱っこの破壊力は強烈だった。


暫くはその余韻とベットから香る遼の匂いでドキドキしてしまい寝れない結衣だったが、時間が遅いだけあって、数分後には意識が再び夢の世界へとおちていった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

隣の部屋に一人暮らしする幼馴染の美少女が親友から彼女になるまで @haamai2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ