きれいな言葉をかけて植物を育てるとよく育つ

寝る犬

きれいな言葉をかけて植物を育てるとよく育つ

「うちの母親がね、家庭菜園で育ててるプチトマトに、毎日『きれいだね』とか話しかけてるんだ」


「ああ、なんか高級な果物も、出荷前にモーツァルトの流れる倉庫で熟成させるとかやってますよね」


「そうそう、それ。毎日きれいな言葉で話しかけるとおいしくなるらしいよ」


「はぁ……たぶんその根拠は『バクスター効果』ですね」


「バクスター効果?」


「昔、CIAの尋問官だったクリーヴ・バクスターが、尋問に使う噓発見器ポリグラフを観葉植物に突き刺しましてね」


「CIAの尋問官?!」


「その状態で『この植物、燃やしてしまおうか!』と考えただけで、植物が恐怖の感情を示したという論文を発表したんですよ」


「おお、論文! 科学的!」


「まぁ発表したのは超常現象の研究団体で、発表されたのも『超心理学ジャーナル』誌なんですけどね」


「非科学的!」


「しかも後にその超心理学団体は、『バクスター効果は超心理学とは何の関係もない』って公式に発表してるんですよ」


「ふんだりけったりかよ」


「ところでCIAで思い出したんですけど」


「突然なに?」


「CIAがテロリストを尋問するときに、『暗い部屋で同じ音楽を爆音で何度も聞かせる』っていう拷問を使うんですけど」


「いきなり話が飛んだな」


「いや、出荷前に暗い倉庫でモーツァルトを延々聞かされる果物、実は拷問を受けてるんじゃないですかね」


「まずくなりそう……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

きれいな言葉をかけて植物を育てるとよく育つ 寝る犬 @neru-inu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説