第12話

「じゃあ、クラスのみんなのことは田中と吉田に任せるわ。頼むぜ委員長」

「任された」

 こうして佐川君を見つけたわけだし、この世界は漂流者に優しいし、意外と何とかなるかもしれない。なってくれるといいなぁと思った。

 とりあえず、ホンタでの目標は達成したので、佐川君に宿でも紹介してもらおうかなぁと考えていたら、よっちゃんがなにか言いたそうだ。

「よっちゃん、どうしたの?」

「ねぇ、佐川君。私、魔法の本見てみたいんだけどいいかな?」

 そういえば、そんなのがあるという話だったなぁ。コメタにはなかったから大魔女として見ておきたいのかなぁ。

「いいぜ。というか、せっかく来たんだからむしろ見ていけ」

 佐川君が笑いながら言う。佐川君にそんな権限あるのかなぁ? まぁ、見せてもらえるなら見ておこう。

「うん。今後の旅の役に立つかもしれないし、おねがい」

 こうして、佐川君に魔法の本を見せてもらうことになった。

 よっちゃんは嬉しそうだ。そんなよっちゃんを見ると自分も嬉しくなった。

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田中ちゃんの冒険。 春野秋音 @harunoakine

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